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2005年10月03日(月)
soul,spirit.

私自身は死後の世界などない、ただ、生者死者に関わらず「念」を残す機構はこの世にあるのではないかと思っている。「呪怨」なんかは派手に飾り付けたフィクションであると思うが、もっとナチュラルな不吉な場ってのはある気がする。最近、江原啓之や美輪明宏をはじめとして「スピリチュアル」な本が売れている。「ソウルメイト」を題に冠したものも多く出回っている。果たして魂とはあるのか。生まれ変わりはあるのか。彼女(同じ書店員)と話していて「生きがいの創造」というタイトルが出たので検索してみると、そのweb版みたいなページがあった。私はその本を読んだことがなかったが、この書き方はちょっとおもしろかった。福島大学経済学部助教授の飯田史彦という人が書いた本で、確かにけっこう売れてた記憶がある。ビジネス書定番の中にも入ってたはずだ。(説明しよう。「定番」とは取次会社のシステムで、一冊売れたら一冊発注がかかり自動的に補充される基本在庫商品群のことである。)一部を引用する。

--------------------(長い引用)------------------------

 なお、本稿では、いわゆる霊能者や宗教家、民間のセラピスト(治療家)やジャーナリスト(報道関係者や評論家)、あるいは文化人や芸能人が書いた文献は、一切取り上げない。それらの著作の中にも、読み物として優れたものがあることは否定しないが、あくまでも学術的かつ客観的な立場を守るために、名の通った大学の教官、博士号を持つ研究者や臨床医の研究のみから引用し、一般人の体験者自らが本名で記した具体的記録を若干加えながら構成する。しかも、決してそれらの研究を盲信するわけではなく、信頼度が低いと判断される文献や、実証的でなく主義主張の水準にとどまっている文献は、たとえ興味深い内容であっても容赦なく排除した。

 また、私は家族も含めていかなる宗教にも帰依しておらず、正月には神社に詣で、盆には寺に参り、クリスマスにはツリーを飾る、典型的な「雑宗教」の日本人として生活している。ある時に個人的な超常体験に遭遇して以来、いわゆる「魂」の存在は具体的な実感として認識しており、本稿も「魂」たちの強い勧めに勇気づけられて記すものであるが、私自身や本稿の内容は、いかなる宗教団体とも全く関係がないことを重ねて強調しておきたい。


第1節「死後の生命」と「生まれ変わり」に関する実証的研究の系譜

 人間の死後存続に関する科学的研究は、大きく2通りに分けることができる。第一に、「物理的肉体を失った後にも、意識(いわゆる魂)として存在し続けること」を研究する場合。そして第二に、「物理的肉体を失った後にも意識(魂)として存在し、再び肉体を持って生まれ変わってくること」を研究する場合である。前者は「死後の生命」に関する研究であり、後者は「生まれ変わり」、あるいは仏教的観念を借りて「輪廻転生」と呼ばれるものに関する研究である。厳密には、研究者によって観点や姿勢が異なっているが、本稿の目的はそれらの相違を整理することではない。むしろ、「観点や姿勢が異なるにも関わらず、数多くの研究者達から同様の研究成果が報告されている」という興味深い事実に着目するため、混乱を避けて、上記2分類の紹介にとどめておきたい。

 これらの研究は、19世紀以前にも、いわゆる幽霊や死者との通信などの研究として行われており、中には説得力を持つものも見受けられるが、往々にして、宗教的動機や通俗的興味と結びつきがちであった。私が見るところ、宗教的動機や通俗的興味を持たない純粋な学術研究であり、しかも客観的データの蓄積と分析という科学的方法論を伴う研究は、臨床医学の領域から始められたと言ってよい。それが数多くの研究者へと拡がり、真に実証性を高めてきたのは過去10年から20年くらいの間であるが、その端緒は、前世紀の終わりにまでさかのぼる。

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書き味がよいよね。文体がすばらしく、理系の文章ですが私には良質の「読み物」に思えます。このスタンスでかかれると、たとえフィクションでさえレポートに思えてくるから不思議。このレポートがフィクションであるとはいってませんが。そういえば幻冬舎文庫ででている「廃用身」という小説も、ノンフィクションの形を借りたエンタテインメントとして、途中まで気付かずにだまされていたという人もいたくらいのものでした。その作品、随所にグロテスクな趣味もうかがえますが私は引き込まれて読みました。「ラストが見え見え」というレビューもあったけど、ミステリー・推理ものを普段まったく読まない私にとっては十分衝撃的でかつ重い余韻が残った作品でした。

魂及び生まれ変わりの有無に関しては、まだまだ資料を読む段階で判断は保留の状態です。勉強勉強。