脳内世界

私が捉えた真実、感じた真実などを綴った処です。
時に似非自然科学風味に、時にソフト哲学風味に。
その時その瞬間、私の中で、それは真実でした。


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 今日のは日記。

昨日、晴れていたので散歩に出た。
好きな風景を撮りまくってやろうと、デジカメ片手に勇んで出た。
目指すは庭園みたいのがあったりしてちょっと風情のある、近くの公園。そばにお寺さんもある。

いつも庭園内を流れている水は、流れていなかった。
ちょっとがっかりしつつも桜を撮る。
もう桜の時期か。
工事中のおじさん達がいた。
人が居なかったらよかったのにな、などと思いながら。

そこらへんを歩き回って、深緑の苔にも見とれながら、「展望台」と立て札のあるコースをずんずん上っていった。
こんなコース、ここに住んで十年以上になるけど、知らなかった。
距離はなかなかあった(ように感じられた)。
木の影から光が漏れて、なんともいえず美しい。
光と影が落ちる土道を撮りたくて、シャッターを押す。
が、撮れなかった。
・・・電池切れだ。
替えの電池を持ってこなかった事に後悔し、いい風景が撮れなくなる事にがっくりしつつも、歩を進めた。
出鼻からくじかれた思いだが、こうなったら散歩を思いっきり楽しんでやる、という気持ちで。
展望台というくらいだから、さぞかし心地よい開けた風景が見えるのだろうと先を行った。
ようやく辿り着くが、まわりに鬱蒼と木がはえすぎて、場所も狭すぎて、ただの休憩所にしか見えなかった。しかも行き止まりだ。
来る途中、少し向こうの方に濃い霧のような、もやのようなものがかかっていたのが見えた。こんな晴れてる日に。
もしかしたらこちらも霧がかかってるんだろうかと思ったが、別にそうでもない。
たどり着いたあとで辺りを見回すと、少し向こうの方に開けてるっぽい処があった。
・・・・・墓場だ。
行こうかなぁとも思ったが、なんだか怖かったので降りてしまった。

撮る事が出来なくなった以上、この公園内を散歩するにもたかがしれている。
近くの寺に行く事にした。
息をきらして上っていくと、そこには誰も居なかった。
さやさやという木の葉の擦れ合う音と、遠くで響く自動車の音と工事音だけが、あたりに響いていた。
ちょうどいい処にベンチがあったので、座ってぼうっと眼下の遠くの景色を見る。
・・こっちの方がよっぽど展望台だ。
十何分かぼうっとした後、立ち上がって賽銭箱の方を向いて手を合わせて目を閉じた。
せっかく寺に来たんだから、お参りだってしてみたい。
お賽銭はもってないけど(←財布をもってこなかった)、遠くからひそかに手を合わせるくらいなら赦してくれるだろう。
それに、手を合わせて目を閉じているとひどく落ち着く。
賽銭に関する謝罪しか思う事はなかったが。

気を取り直して寺の境内を出ると、一匹の猫と目が合った。
かなり太っている。
その猫は別段驚く事もなく、ぼてぼてぼてと目の前を通っていった。
えらく度胸の座った猫だ。
悪く言うと、ふてぶてしい、か。
猫の行く先が気になって、足音忍ばせて追ってみた。
ここの寺の神様の化身だったら面白いのに、などと思いながら。
猫は寺の奥へと姿を消すと、にゃぁと一鳴きして、どこぞかへ行った。
あまり奥まで追いはしなかったが。

今度こそ気を取り直して、寺を降りる。
目についた道を進むことにした。
ちょうど看板に「史跡散策コース 箭田大塚まであと3km」みたいな事が書いてある。
昔の人の墓なんてあまり行く気がしないけど、行ってみるかな。

ここは周りに小さな山が沢山ある。
てくてく歩きながら、少し向こうに見える山々に目をやった。
そういえば私、前々から行きたかったんだ。
家の窓から見える山のふもとに。
箭田大塚を横切って、目標とする山のふもと目指して黙々と歩く。
田んぼの中に民家が詰まっている。道はどんどん狭くなる。
このままいくとふもとに辿り着くまでに行き止まりになるんじゃなかろうか、と思った時、案の定、進めそうにない所に来てしまった。
前は田んぼだか畑だか。こりゃ誰かの土地だな。
向こうから小さな子供たちが自転車でやってきている。その後ろに母親と思しき人物も。
私はここの人間ではない。少なくとも知られてない。
・・・・子供はともかく、大人には不信がられるだろう。
そう思った私は踵を返し、もときた道を戻ることにした。
すると、すぐ後ろで自転車(コマつき)の音がする。
見ると、小さなオトコノコ。
ニコッと笑うと、あちらも顔を笑みの形に崩す。
かわいい子だなぁ。
これを機とばかりに、私は情報収集することに決めた。
「このへんに住んでるの?」
「うん」
「ふーん、そうなんだ。さっきまで向こうであそんでたの?」
「うん」
・・・ちょっと怪しいお姉さんであると思ったが、まぁいいとする。
「あの山のふもとに行ったことある?」
「うん」
これは何か判るかもしれない。
「ふもとには何があるかしってる?」
「んーとね、かいだんとか・・」
か、階段か。
「そっかぁ。私ねぇ、あの山のふもとや向こうに何があるのか知りたくて散歩してたんだぁ」
「そうなの?」
「うん」
どうやら私は見知らぬ子には饒舌になるようだ。
ほどなくしてその子が自転車のスピードをあげて角を曲がったので、家に帰ったんだなと思った。
が。
後ろで「てててて、てててて」と一定のリズムで足音がする。時々止まっているようだ。
まさかここの住民に不信がられてしまったんじゃあ・・と思い、内心少し怯えながら振り向くと、さっきの子が私の後をついてきていた。自転車はどうやら置いてきたようだ。
「あれ?帰ったんじゃなかったの??」
「ううん。家どこなん?遠いん?」
「ううん、結構近く。ていうか、いいの?お友達と遊んでたんじゃないの?」
「ううん、あれともだちじゃないよ」
あ、あれ(汗)。
一緒に居た子は友達じゃなかったのか。
「お家に帰らなくていいの?」
「うちが判るまで帰らない」
うち、とは、私の家の事か。
しばらく(私の家が何処にあるかについて等の)雑談したあと、その子は幼稚園を卒園したばかりの六歳だということが判った。
「あの山の向こうって、何があるか知ってる?」
「お墓があった」
「そっかぁ。お墓かぁ」
やっぱり何処にでも墓ってのはあるみたいだ。
そうか、墓か。
どっちにしろまた小さな集落でもあるのかもしれない。
にしても・・うーん、六歳と同レベルで話が出来た自分て。
でも見知らぬ幼児とお喋りするのはフシギな感覚がして楽しいもんだ。
駆け引きとかそんなものなど一切無い。
かわいいなぁ、この子。

その後、背後で何度か窓が開いたり閉じたりする音がしたので、大人に不審がられていると思ってちょっぴり怯え出した私は、やんわりとその子と別れた。
途中後ろを振り向くとまだ立ってこちらを見ていたので、にこ、と笑ってばいばいと手を振ったら振り返してくれた。ちっちゃな手が右に左に。

それからしばらく家に向かって歩き出した。
道すじの選択は勘である。
さびれた水上ゴルフ場(こんなのがあったなんて知らなかった)を横切りついでにぼうっと水のふちを眺めて、勘だけを頼りにジブンの団地を目指す。
そういえばさっきの子と私と、ひとまわり違うのか、同じ干支だな、なんて思いながら。

綺麗な若草色の草や竹薮が撮れない事を後悔しながら、竹薮の中の道路をひたすらぶらぶら進んでいく。シルバーセンターを横目に歩き、団地の近くにあるクリーンセンターまでたどり着いた。
思えばこのクリーンセンター、フシギな建物だ。
馬鹿でかいこの建物の中に、どれだけ大きな化学処理装置が動いているのだろうと少しだけわくわくしながら、人気の全く感じられない(でも中で大勢働いてる人間がいるのだろう)建物を眼下に横切った。
先程からやたら墓を目にする。人ある所には墓が在るんだな、などと思いながら歩いて行くと、やがて団地の裏に辿り着いた。

なかなか楽しい散歩だった。
デジカメの電池が切れたのは少々残念だったが。

2003年03月20日(木)
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