窓のそと(Diary by 久野那美)

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2001年11月21日(水) ぼくんち

大好きな漫画。
西原理恵子さんの「ぼくんち」を久しぶりに引っ張り出して読んだ。
小さな家族と小さな町と大きな世界の物語。その中で少しずつ大人になっていく「ぼく」の物語。時間はとりとめなくたんたんと流れ、空はぽかんと広がっている。地に足のつかない「せいかつ」と、後戻りすることなく流れていく「じかん」が丁寧に丁寧に描かれる。世界は後戻りすることなく少しずつ大きくなり、同時に、決して後戻りすることなく少しずつ小さくなっていく。哀しいくらい、確かに確かに小さくなっていく。
<ぼくんち>というのは、本来「日常」とか「平凡」とかいう机上の概念からいちばん遠いところにある断固「特別な」何かであるはずだということを、手の中で確認できる。
同時に、そんなにも「断固として特別な」はずの<ぼくんち>は、いつでも誰とでも共有できる、誰からも等しい距離に初めからある<ぼくたちのうち>の断片にすぎないのだということを。
世の中にはものすごく小さいものとものすごく大きなものがあって、それがときに自分自身であったり世界であったりするのだ。

大好きな漫画。

物語の中には、はじめから終わりまで風が吹いている。
冷たくて、悲しくて、涼しい風が吹いている。
風通しのいい物語をとっても読みたくなることって、ときどきある。


*「ぼくんち」は→こんな本です。


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