ウチの庭には梅の木と桜の木の古木があって、普通は、当然梅の方が早く咲くんだけど、陽気が一気に来ると、開花時期が重なったりする。 去年のように雪消えが早かった年も、一昨年のように雪消えが遅かった年も、陽気が一気に来たので、同時に咲いている姿を拝めた。 実は、桜の大木の下には、俺が大学合格したのを記念に植えてもらった桜の幼木がある。とはいっても、もう樹齢25年くらいなんだけど。 毎年、雪囲いをしてやるんだけど、雪に押され先端が折れ、まともには育たってこなかった。まるで俺のように。 毎年、春になり雪囲いを外す作業をするたび、いったい、俺の桜は、いつになったら咲くんだろうって思っていたんだ。いったい、俺の人生に『花』はあるのかな?って。 大樹の影で日当たり悪いからなのかなあとか、本人の行いが反映されているからなのかなあとか、自分の小さな桜を見るたびに思っていた。 でも、ほんの3年前くらいに、幼い木から蕾が出ているのを発見したときは、本当に感動した。俺もそろそろ芽が出るぞって暗示をかけたりして。 今日、よくウチの裏山に山菜をちょくちょく採りに来る従姉が、去年の写真だよって、梅と桜が同時に開花した写真を持ってきてくれた。日付は4月下旬。その写真には、俺の幼木からも無数の桜の花が咲いていた。 『キュウヤさんも、この頃には家に帰っているよ』って言ってもらった。自分でもそう思っている。 帰ったら、真っ先に、この冬を耐えた桜に会いたい。会ってお互いを称え合いたい。
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