完璧な青空だ
今日なら遥か遠くまで見渡せる。
そう思ってのっぽの杉に、久し振りに登った。
パタタタタタタ・・・・・・
と頭を掠めて鳥の群れが飛び去っていった。
「わっっ」
上を見上げると頭上で鳩たちが旋回していた。
完璧な蒼に白っぽい鳩たちのコントラストが綺麗だ。
鳩たちは飛ぶ。
一つの生き物のように。翻る旗のように。ざわめく草のうねりのように。
木々の木の葉が風に吹かれて揺れるように、あの鳩たちもひとつ何かでつながっているみたいに見える。
遠ざかる鳩を見ていると黒っぽいヤツが一羽、周りから浮いた感じになって微妙にズれた動きをしているみたいに見えるのに気付いた。
群れ全体が綺麗に旋回をしてもその一羽だけがテンポがズれている。
いや、目立つがゆえに違って見えるだけだろうか?
うねる青草の中のただ一本の花のように?
木々の木の葉の中の紛い物の葉っぱのように?
遠くで子供たちの歓声が上がった。
見る間に鳩は飛び去っていった。
[映像だとこういうことしても伝わりやすいんでしょうか…誰のはなし、というのはお任せです。]
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