2002年08月03日(土) |
住基ネットの目指すものは |
8月5日の「住基ネット」の稼働に向け、マスコミが騒がしい。 「住民基本台帳ネットワークシステム」訳して「住基ネット」である。 このところ自治体合併についての「住民投票」を求める署名集めに回っていても、「そっちよりも住基ネットへの接続反対の署名集めはしないのですか」などとの問いが方々で聞かれる。 皆さんにとって、自分にどんな影響があるか実態が分からない自治体合併よりも、国によって自分のデータが管理され、いつ漏れるかも分からないという恐怖感の方が現実としてよく解るみたいだ。 私がこの「住基ネット」に興味を持ったのは、3年前の1999年の事だ。その当時、国によってこのネットを稼働させるための法律を制定しようとの動きが、新聞報道にあったので、地方自治体住民にどの様な利便性をもたらすのかと思ったのだ。 そこで、国の担当部署に問い合わせて資料を送ってもらった。その35ページにわたる資料には、既にこの様なシステムが稼働している外国の事例や、日本が目指しているシステムの概要が標されている。 その当時意外に思った事は、システム構築や稼働に伴う年間経費に比べて、効果として期待できる経費節減が少ない事だった。 このデータを元に、99年12月西条市議会において「住民基本台帳法改正について」および「個人情報保護法制定について」との項目で一般質問を行い、西条市としての対応を聞いてみた。 答えは、国による法律の改正で、実際にどの様な仕事が市にしるされるか明確でないため、仕事の指示待ちの段階です。個人情報保護についても、国や県の対応を待って市としても考えたいとの事だった。 つまり西条市としては、市独自の考えは無く、ただ上位機関の指示の通りに動きますとの方針なのだった。 実際、後日、このシステムを稼働させるための必要経費が全額国から支給され、市としてはこの経費に基づいて国のシステムへの接続作業を、業者に丸投げしただけのことだった。 国の各省庁に渡る事務事業の効率化を図るため、国民一人一人に番号を付けることは、外国でも既に実施していることであり、経費節減のためには必要な事だろう。 しかし、外国の先進事例と比べて日本で問題となったことは、情報管理を行う者が常に心がけなけらばならない事を規定する「個人情報保護法」の制定を、いつの間にか「マスコミ規制法」にすり替えようとして、保護法の制定が止まったままでシステムだけを稼働させる事にある。 「住基ネット」の稼働効果は、全国何処ででも住民票が取れますなどという国民の負担軽減効果よりも、国の各省庁が本人確認事務を効率化させる効果の方が格段に大きい。 つまりはっきりいって、ネットに外部から不正侵入して情報が漏れる恐れよりも、国によって個人情報が管理される方が恐いのです。 既に、2002年2月26日付けの新聞報道で表明されているように、この「住基ネット」を旅券発給や自動車登録などの150件以上の事務に利用拡大するとの方針が総務省の事務次官によって標されているのです。
国民から税金をいただき、それを元に国民福祉の向上のため、様々な政策を実現して行くこと。それが行政に課せられた仕事です。しかし、その仕事の中には残念ながら、行政の慢心によって国民にとっては迷惑でしかない事も含まれているのも事実です。 その行政を監視し、国民に喜ばれる仕事を行う政治もあれば、国民に迷惑な仕事をやるのも政治でしょう。 一介の市議会議員といえども、国全体の動きにも常に関心をもって当たりたいと考える今日この頃です。 今日の日記どう締めたらいいのか迷ったあげく、最後は何だか演説口調になりました。
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