華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2005年08月02日(火)

愛の囁きも聞こえない。 〜イヤリング〜

<前号より続く>


俺は彼女の近くに座って待機する。
オーナーは彼女の肩を突付く。
振り向いた彼女にメモを差し出す。
俺が今夜の相手だ、と伝えたのだろう。
ふっと顔を上げ、俺の姿を見遣る。
雰囲気の割には鋭い眼光だ。
ペンを取り出し、何やら書いてオーナーに手渡した。
メモを受け取ったオーナーも何やら書いて見せる。

筆談を続け、しばらく経った。
オーナーはポケットに入れたアイマスクを彼女に掛けた。
両腕を頭上に挙げさせ、ロープでしばる。
そして俺を呼んだ。

 「一つだけ・・・彼女の『イヤリング』は気にしないで下さい」
「・・・?」

 「では始めましょう。私がマイちゃんを高めていくので、その間に
  ゴムを付けておいて、合図を出したら入れてください」
「はぁ」

 「この娘ね、耳が聞こえない分、他の感覚が敏感なんだよ」


オーナーがマイと呼ぶ女の髪を撫で、耳元に息を掛ける。
途端に身体をくねらせて大きく息を吐き出す。
バスローブが淫らにはだける。
小柄ながら美しい肉体が垣間見えた。
店内の間接照明に浮かび上がる、見事な曲線美。

ソファに両脚を開いて挙げさせる。
当然、バスローブの下には何一つ身につけていない。

白く美しい両脚が俺の目前でM字型に開かれた。
その根元には、すでに妖しくぬかるんでいるマイ自身。

オーナーは躊躇無く指でマイ自身を弄び始めた。
粘着質な音が響く。
全身をくねらせ、深呼吸を繰り返すマイ。
オーナーはマイ自身の突起を強めにこねる。
電撃的な快感を受け止め、あられもない格好で痙攣を始めたマイ。
いい感度だ。

オーナーはマイの両腕を縛ったロープを解く。
マイはオーナーを真っ直ぐ見つめ、背中に手を回して自らに引き寄せる。


 「ほら、もう欲しいって合図してるでしょ?」
「・・・」

 「私はここまで、お客さんは早くゴムを付けて下さいよ」
「・・・はぁ」

 「タイミングが大事なの、急ぐ!」


この店ではオーナーは絶対である。
客商売とは思えない注意ぶりに腹が立ったが、従う事にした。

俺の準備が整った頃、マイはすでに焦れていた。
オーナーの指技も巧みで、マイ自身は愛液が滴るほど熱く熟れている。

 「ではどうぞ」


考えてみれば、第三者がいる前で女性の深奥に挿入する事など前代未聞だった。
最初の時の俺は、きっと現場の雰囲気に圧倒されていた。
言わば、AVの撮影現場のような感覚だっただろう。


ソファに崩れるマイの両腿を大きく圧し開き、彼女自身に俺自身を添える。
マイの粘膜が熱が薄いゴム越しに伝わる。

歯を食いしばっているマイ。
これから来る快楽に失神しないよう、覚悟を決めているのか。


俺は体重をマイの腰に預け、俺自身を深奥に突き入れた。


  はぁ〜・・・はぁぁ〜〜っ・・・


俺の腕の中で脱力し、肺の中の空気を全て出すかのよう息を吐き切るマイ。

気持ち良いのだろう。
しかし声は出ない。

腰を動かすと、マイはさらに脱力し、柔らかいパン生地のようになった。
俺は屈曲位でマイの深奥を突き続けた。

何ら抵抗する仕草もない。
俺の律動を受け止めている。
脇で見ていたオーナーが手を伸ばし、マイのアイマスクを外した。

虚ろに目を開け、恐る恐る俺を見上げるマイ。
俺と目が合う。
互いに見つめ合いながら、俺自身とマイ自身を絡め合う。

しかしなぜかマイが顔を背けた。

その時に見えた。
左耳の耳孔に差し込まれた小型補聴器。
これが・・・「イヤリング」か。

思わず注視し、腰を止めてしまった俺。
その視線に気付いたマイは補聴器を手で隠そうとする仕草を見せた。



耳の不自由な人は好んで言葉を発しない。
自分の声が聞えない状況では、自分が何を話しているのかも分からないという。
内容はまだしも、適切な発音が出来ているかも分からなくなる。

訓練次第ではそれとなく話せる技術も保てるそうだが、
自分の声が聞えないと適切な声量か、適正な発音が出来ているかが
自身で判断できないのだ。

このような人は外見上は健常者と何ら変わらないので、
適切な声量や発音が出来ていないとより強い偏見や蔑視を受けてしまう。

女は快楽に任せて大きな声を挙げる事で内なるストレスの解消になる。
そして無垢になることでより深い快楽に到達できる。
彼女・・・マイはどんなに感じても声を挙げなかった。
喘ぎ声だけでなく、声を出すこと自体に抵抗を感じているのか?

きっとそんな「聾の陰」が彼女の心身の解放を妨げているのだろう。



マイは唐突に俺の胸を突き放す仕草を見せる。
オーナーが割り込んできた。

 「ダメだって・・・交替しましょう」


まだ到達していない俺は強い欲求不満を抱えてしまった。
待合室に戻されるとき、俺はマイを見遣る。
マイはすでに他の男とまぐわっていた。
冷静に見て、とても奇妙な感覚だった。

 「お客さん、彼女に嫌われたね」


<以下次号>








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