華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
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2003年01月12日(日) 年下の男の子。 〜沈黙〜 |
手紙を投函した、その二日後の夜。 俺は退屈な時間を、テレビのバラエティ番組を眺めて潰していた。 不意に電話が鳴る。 この時間に掛って来るのは、真知子くらいだ。 受話器から聞こえてくる声は案の定、彼女だった。 「もしもし、真知子です・・・ありがとぉ、写真届いたよ〜っ!」 「おおそうか、予想より相当不細工だったでしょ?(笑)」 「そんなぁ・・・充分いい男だよ〜っ(笑)」 「そう?惚れた?(笑)」 「うう〜ん、難しい質問だなぁ〜っ。でも平良君好きだなぁ」 いつになく甘い声で絡みつく口調の真知子。 どちらかというと折り目正しい印象だったが、こんな彼女は初めてだった。 「なんだかいつもの真知子じゃないなぁ・・・飲んでるの?」 俺は、いつもと違う真知子の様子が酒に酔っているからだと思った。 たしかアルコールは弱いから滅多に口にしない、と言っていた。 「うふふ、分かるぅ?だって、もう夜だものぉ・・・」 「ふぅん、いいお酒飲んでるんだね(笑)」 「・・・・・・」 ふと黙り込む。 突然途切れた会話。 意味ありげな沈黙が続く。 「何かあったの?あったでしょ?」 「・・・ううん、何でもないよ」 「そうか、だったらいいんだけど」 「・・・・・・な〜んでもな〜いよっ♪」 歌うように否定し、わざと明るく振舞っていた真知子。 その明るさが繕ったものだと、残念ながら俺には分かってしまった。 その直後、彼女のその明るさがやはり偽りなものだと自ら明かした。 「平良君、聞いて・・・ヤスって凄く甘えっ子で、疲れちゃうの」 「彼って元々甘えん坊なんでしょ?いつもの事じゃないの〜?(笑)」 「それがね、ちょっと度を越してるっていうか・・・」 受話器の向こうで溜息をつく。 最近、真知子の娘にまでヤキモチを妬き出したという泰之。 その娘を彼女の実家に預けて、二人だけで同棲しようと言って聞かない・・・ 彼女はそうこぼした。 確かに娘がいると、どうしても泰之が真知子と接する時間が減る。 あの娘は前の夫との子どもで、俺には関係ない子どもだ。 俺の事が好きなんだろ? 俺の事が大事だろ? だからあの娘は実家の祖父母に預けて、俺達で新しい生活を始めよう。 君は子どもが好きなんだろ? じゃ結婚して俺と真知子との子どもを作って、俺たちで幸せに暮らそう・・・ 泰之は真知子にそう言い出したという。 最初、真知子は馬鹿な冗談だと受け取って聞き流していたが、 泰之の真剣な態度やその後の発言を聞く限り、あながちそうでもなさそうだと言う。 そんなもの、愛情ではない。 泰之はただ真知子を独占したいのだ。 泰之の発想の幼稚さに、同じ男として耐え難い嫌悪感を感じた。 思わず悪寒が走る。 「・・・何だそんな事か・・・別段たいした事ないじゃん(笑)」 重い雰囲気の中、俺はわざと明るく言ってみた。 「・・・どういう事?」 「だったら私は娘と住むから、あんたが出て行って!って言えばいいよ」 「もう、馬鹿ね・・・」 やっと真知子も笑ってくれた。 しかし泰之という男の考え方は自己中心的過ぎる。 自分の欲求を叶える為なら、母と娘を引き剥がしても平気なのか。 俺なら愛する女と幼い娘を自分の我が侭で引き離す事など考えないが。 真知子は好まない酒をわざわざ飲んでいる。 愛する男からの理不尽な要求に振り回されている事へのストレスからか。 どちらにせよ、美味しい酒ではない。 愛娘を捨てる事など、母親の真知子に出来る訳がない。 それをさせてまで自分のものにしようとする恋人の泰之。 彼女の愛情を試しているのか、それとも本当に独占しようと考えているのか。 心地良い時間を真知子と過ごしつつ、俺は心の片隅で実は心配していた。 真知子がまた「くだらない男」によって傷付かなければ良いだが・・・と。 酒に酔った人間というのは、日頃抑制している心情を吐き出すものだ。 真知子が最も強く抑制している事・・・それは、話の内容で分かった。 次第に真知子のリードで艶っぽい話題へと向かっていく。 話は先日のテレフォンSexの話題になる。 それは彼女にとって相当衝撃的だったらしく、あれから何度も思い出し、 人知れず身体が芯から熱くなることもあったという。 「平良君、酔ったからかな・・・今ね、すごく人肌恋しいの・・・」 「どうしたの?彼にせがめば良いじゃん(笑)」 「馬鹿ね・・・こうしてわざわざ電話しているのに・・・」 「真知子・・・もしかして、俺としたいのぉ(笑)?」 「もう、女にそんな台詞を言わせないで、恥ずかしいじゃない・・・」 酔っているとはいえ、大胆で思わせぶりな事を言うものだ。 俺も柄に無く照れてしまう。 「俺、今から本当にそこまで真知子を抱きに行きたいくらいだよ」 「ダ、ダメよぉ・・・そんな事言われたら、我慢出来なくなっちゃう・・・」 「我慢?し切れなくて、こうやって電話しているんじゃないの?」 「・・・・・・意地悪ぅ」 「傍にいたら、絶対に誰にも俺達の抱擁を邪魔させないよ・・・」 「・・・ねぇ、もう熱いの・・・私を、私を真っ白にして・・・」 俺と真知子は電話越しに熱い言葉と吐息を交し合う。 彼女の妄想を掻き立てる言葉を次々と掛ける。 俺達はもう何度も肌を合わせているようなものだ。 真知子がどういう言葉や指示に燃えるのかは理解している。 真知子は俺の思い通りに熱く悶え、卑猥な声をあげる。 その喘ぎ声は、今までのテレフォンSexよりも過激で熱を帯びていた。 今はもう仕事ではない。 全ては自らの快楽のためだ。 アルコールで導き出された、抑制を超えた欲望。 「ねぇ、こんな私嫌いになった?」 「全然。なぜ?」 「だって・・・こんなに淫らなんだよぉ・・・もう今も指が止まらないのぉ」 「すごく好きだよ・・・淫らになればなるほど、真知子が恋しい」 「本当?本当に淫らな私が好きぃ?・・・こんなにHなんだよぉ?」 「それが本当の真知子なら、本気で好きだよ・・・」 「嬉しい・・・もっと、もっと平良君に壊されたい・・・」 「だったら壊れちまえ、もっと激しく動かして!」 「ダメ、ま、また真っ白になっちゃうぅぅぅ・・・!」 声にならないうめき声をあげて、真知子が果てた。 一体、どれだけの時間をかけて、何度求めただろう。 もう何度も頭が真っ白になったよ・・・と、真知子は全てを終えた後で言った。 「とても自分でしているとは思えないの・・・」 「それだけ真知子は普段から満足していないからじゃないの?」 「・・・・・・」 茶化し気味にそう言ってみると、また押し黙る。 「彼とは?もう関係はあるんでしょ?」 「泰之とは・・・うん、無い事はないよ・・・」 真知子の絶頂までの途中で、泰之が果ててしまう。 彼女の身体を満足させる域にまで達していないのだ。 真知子も気を遣って感じる振り、イク振りをしてみたりするのだが、 泰之にとってはコンプレックスなのだという。 「だって余裕も無いし、まだ自分だけで手一杯だから・・・」 「男としては、ま〜だまだだなっ(笑)Sexが下手だと浮気されるぞ(笑)」 「関係ないと思うんだけどなぁ・・・」 「でも男にとっては大事な事だよ。年上の女性が教えてあげたら?」 「私が?う〜ん・・・・恥ずかしいよ(笑)」 快楽の果てにすっかり酔いの覚めた真知子は、本当に恥ずかしそうだった。 それからしばらくの間、真知子からの連絡はなかった。 せいぜい彼と幸せにしているのだろう・・・そう信じていた。 自分の嫌いなタイプの男に敵わない悔しさや侘しさを抑えながら。 12月初め、ある夜遅くに電話が鳴った。 真知子だった。 「もしもし・・・私、分かる?」 「真知子?久しぶり・・・あれ、家じゃないの?」 「うん・・・外から。ちょっと事情があってね・・・」 <以下次号> |
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