華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
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2002年09月21日(土) 二次元ronde。 『紙切れ、赤い糸』 |
あれからも何度も電話で話し、半月後に初めて会うことになった。 昼過ぎ、待ち合わせ場所の喫茶店。 入り口から見通しの良い席に座り、サツキの到着を待つ。 俺が店に入った数分後、小柄でオーバーオール姿の女性が店内を見回していた。 会う直前に着ていくから、と約束していた緑のパーカーを羽織っていた。 俺は彼女に向かって手を挙げると、向こうも気付く。 「はじめまして、平良です」 「どうも、サツキです・・・」 緊張の最中で俺はアイスコーヒー、サツキはホットミルクティーを注文。 小柄で童顔のサツキは話す時、何故か俺と全く目を合わせなかった。 全く別方向を向いて話すのだ。 悪意がある訳では無く、相当な照れ屋な様子だ。 最初はいつもの電話のように砕けた話が出来なかったが、 時間が経つにつれて、いつもの調子で話せるようになった。 サツキも少しずつ俺の目を見て話すようになる。 彼女は相当の漫画好きで、俺の好きな漫画も全て読破していると言った。 当時の俺の好みは「ツルモク独身寮」「究極超人あ〜る」「シティーハンター」などの 男性向けのものばかりだったが、サツキは筋書きから登場人物まで事細かく覚えていた。 漫画やアニメの話になると、水を得た魚のように活き活きと語り出す。 こちらが本当の彼女なのだろう。 「旦那も好きだから、家にも結構あるよ」 「つきにどれくらい漫画に使うの?」 「私はお小遣いが五千円でしょ、そのほとんどが・・・」 「五千円?」 彼女は旦那の稼ぎから「お小遣い」を貰っているのだという。 彼への遠慮から、自らに窮屈な生活を強いているのだ。 けれど旦那以外の男性へと目を向けさせる要因は他にもあるはず。 「主婦なんだし。もっと上手く切り詰めてヘソクリにすればいいじゃん」 「・・・悪いじゃん、なんだか騙している気がして」 アニメの話とは打って変わって、俯き加減で暗い表情になる。 決して旦那を騙して男遊びに走るような悪い女ではない。 ただ一時でも家庭や嫁というしがらみからの息継ぎを求めているのだろう。 サツキの話の節々から、彼女の家庭の事情が断片的に見えてきた。 自分がどれだけ家庭や子供に尽くしても、それをさも当たり前のようにしか 受け取っていない様子の旦那。 その態度に彼女は無力感と疲労感を訴えていた。 日々の頑張りを一日で一言でも良いから旦那に称えて欲しい、感謝して欲しい。 それは主婦という立場から求めるのはそんなに贅沢なのだろうか。 他の男は確かに女性に対しては機嫌を取ろうと誉め、なだめ、おだてる。 サツキもその切ない一瞬に、空しく癒しを求めていたのかも知れない。 人間を育て、人間関係を育てる行為とは・・・ 努力や労働に対して「感謝する」「誉める」こと。 例え相手が大人とはいえ、家族とはいえ。 旦那も仕事から帰り、食事や風呂を終えたらすぐに趣味やパソコンに直行するようでは、 もはや夫婦という人間関係を過信し過ぎてるとしか思えない。 他人同士がたった紙切れ一枚と、糸のような絆で繋がった関係なのだから。 俗に言われる赤い糸とは「繋がっている」だけの糸なのではなく、 「油断するとすぐに切れる」糸でもあるのだ。 サツキは一通り、自らの寂しさや空しさを吐露すると、随分楽な表情になった。 それからの漫画やアニメの話は、先程以上に盛り上がった。 恨めしい事に・・・楽しい時間というのはあっという間に過ぎていく。 彼女も夕飯の支度に出かける時間になった。 「今度、もしよければ俺の家においでよ。」 「いいの?汚いんじゃない、男の一人暮らしの部屋は」 「ちゃんと掃除しておくからさ」 「いいよ、平良クンの好きそうな漫画を持っていってあげる」 そんな約束をして散会。 夕焼けが照らす国道248号線を、彼女はスーパーへ向かって車を走らせた。 それから2週間後。 サツキは俺の部屋に来た。 彼女は先日の約束通り、何とリュックサック一杯に漫画本を持ってきた。 「これなら知っているのもあるでしょ?」 リュックには新旧の漫画の単行本が溢れていた。 「これだけ持って来るの、本当に重かったんだから!」 俺はアップルティーを振舞う。 彼女は興味深そうに俺の本棚を覗き込む。 「なんだ、あまり漫画の本って無いんだね」 「そう?」 俺の本棚には大学時代の教科書や読み損いの文庫本、写真集などが詰まっている。 確かにサツキのお気に入りの本は、ほとんど無かったに等しい。 俺はサツキとお茶を飲みつつ喋る。 その頃になるとサツキは、俺をからかうようなことも言うようになった。 旦那と違った男との砕けた会話は実に新鮮だったに違いない。 俺は密かにサツキの様子を伺う。 独身の男が女性を家に招き入れるのだ。 それなりの下心を持っていてもおかしくあるまい。 「平良クンも女心を知るために少女漫画でも読んだら?少しはモテるかもよ」 サツキは、何かと相変わらず俺をからかう。 俺はトイレに立つ振りをしてサツキに近寄った。 そし背後からサツキの胸を一気に鷲掴んだ。 「いい加減、俺をからかうと・・・こうするよ」 俺はサツキの胸を服の上から、大きく持ち上げるように揉みしだく。 いきなりの攻撃に、サツキはアニメ声で悲鳴を上げた。 「イヤァ、止めてェ」 その悲鳴は俺のオスの本能に火を点けるのに充分だった。 サツキは前かがみになり、身を固くする。 しかし俺の腕の中から逃げようとしなかった。 甘んじて俺の胸への攻撃を受けているのか? 口では抵抗するも、行動では表れない。 俺はショートカットのサツキの耳元を軽くkissしながら胸を揉む。 「ううっ、ううっ、んううっ」 固く我慢する口元から、うめく声が聞こえる。 身を固くしていたはずが、力が抜ける。 「痛いの?嫌なの?止めよっか?」 「・・・・ううっ」 明確な否定は無かった。 時間にして数分間、俺はサツキの胸を揉み続ける。 外見からは思いもつかない、案外手ごたえのある質感だ。 それまで固く俯いていたサツキが、いきなり顔を挙げた。 潤んだ瞳で俺を悩ましげに真っ直ぐ見つめた。 「・・・えっちするうっ」 <以下次号> |
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