華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
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2002年09月07日(土) 過ぎし夏のmemories。 『再会』 |
<前号より続く> 「この前、凄く濃厚なkissしたよな」 「・・・覚えてるよ」 「俺、あの後凄く余韻が続いて・・・しばらく眠れなかった」 「・・・嘘」 「本当だって・・・次にしたら、俺は藤崎・・・みゆきのこと欲しくなるって思った」 「・・・」 「藤崎を初めて女だと思った・・・考えてたんだ・・・もう一度kissしたい、と」 「・・・」 「俺と藤崎の関係が壊れる事が恐い。でも・・・男だからな、俺も」 「・・・やっぱり下手だよ、平良」 「・・・」 「下手だから安心できるの・・・私だけが馬鹿を見てるんじゃないって」 俺は藤崎をそっと後ろに倒し、覆い被さる。 「俺、今夜は藤崎が、抱きたい」 「・・・嬉しいよ」 俺は唇を重ねた。 藤崎も前回以上にねっとりとした舌遣いで俺を溶かしに掛かる。 しかし明らかに前回とは違うところがあった。 藤崎はkissの最中に声を漏らし、息苦しそうに何度も口で呼吸する。 俺は藤崎の髪を撫で、腰や胸を服の上から優しく撫でる。 俺自身はジーンズの中で、恥ずかしいくらいに藤崎を求めていた。 俺は藤崎の上半身を脱がせた。 小ぶりな乳房に、さらに小さい乳首。 「小さいから恥ずかしいの」 「気にするな」 俺は藤崎のkissに負けない繊細さで、舌先で乳首を転がす。 途端に力が抜けて、可愛い喘ぎ声を漏らす。 「声が出ちゃうよ、恥ずかしいよ・・・」 「出してもいいから」 俺も藤崎も間もなく全裸になった。 藤崎は、彼女自身を求め勃つ俺自身を手にとり、神妙な顔をする。 「何見てるんだよ」 「私には無いもんだからね、不思議だなぁって」 「俺はこっちの方が不思議だって」 俺は右手を伸ばし、藤崎自身に指を這わせた。 くすぐったいのか、恥ずかしいのか、腰を退き顔を大きく背ける。 ヘアを掻き分け、中指が突起のその奥へ滑り込ませる。 嬉しくなるほど、彼女も俺を求めていた。 藤崎の突起を指先で円を描くように撫でる。 途端に力が抜け、可愛い声を出す。 「平良、ゴム持ってる?」 「ああ、あるよ」 「・・・お願い、付けて」 藤崎の言葉に、俺は押入れから布団を出して敷く。 そして彼女の前でスキンをつけた。 二度とあんな辛い時間を過ごしたくない。 そんな彼女の気持ちが痛いほど伝わる。 今度は藤崎がカバンから何やら取り出す。 錠剤だ。 「私ね、ゴムだけじゃ不安なの・・・」 彼氏との時も使うの、と殺精子剤を彼女自身の奥に差し入れる。 これでようやく受け入れ準備完了。 「そんな重装備だと、他の男なら退いちゃうよ」 「だって、恐いんだもの・・・」 自分の『過去』との闘いの、本当の勝利はまだ先にありそうだ。 藤崎は横になり、そっと身体を開く。 俺は小柄な彼女に覆い被さり、瞳を見つめた。 ゆっくりと両腿の奥へ腰を沈める。 俺は藤崎と一つになった。 藤崎の深奥に俺自身の先が当たる。 そのたびに大きく息を吐き、可愛い声をあげ、俺にしがみ付いてくる。 「みゆき、俺・・・みゆきの事、好きになっていきそうだ」 「平良、私も・・・本当よ」 「みゆき・・・」 「ダメ、何だか・・・名前で呼ばれちゃうと、おかしくなっちゃうぅっ」 「いいよ、誰よりも感じてみろ」 「ダメ、本当に平良の事、好きになっちゃうから・・・苦しめないで・・・」 決して派手な声を上げる訳ではない。 藤崎は全身で俺の感触を味わっている様だった。 「ねぇ、もっと奥、突いて・・・そう・・・」 俺は藤崎の要望通り突き上げた。 「・・・ウゥッ!ンフゥッ・・・」 「イキそう?」 「聞かないで・・・ああ、ダメェ!」 数回強く突き上げた時。 小さめの悲鳴と共に、彼女自身が芯から痙攣するのが分かった。 頬を染めた藤崎は恥ずかしそうに俺に強くしがみ付く。 「平良、まだイッてないよね・・・?」 「俺?ああ・・・ゴム付きだとイケないんだ」 俺がまだスキンになれていない頃で、もともとつけるとイキにくい体質。 ゴムの感触が、何とも俺の性感を阻害する気がする。 でも精神的には充分満足だった。 「ゴメンね、私だけ先に・・・」 「いいよ、気にしてないから・・・痛くなかったか?」 「大丈夫、少し痛いのはいつもの事だから・・・」 まだ経験の少ない藤崎は、少し痛みが残ると言った。 拒絶反応から痛みを覚えたのでないようなので、良かった。 藤崎にシャワーを貸し、また布団でまどろむ。 そして始発電車に合わせて彼女を駅まで送る。 歩いて送る道中、なぜか何も言葉を交わさなかった。 照れなのか、後悔なのか。 丁度いい時間に駅へ到着し、藤崎は礼を言って改札口の中に消えていった。 晩秋の早朝は、吹く風が冷たい。 藤崎はそれからも何ら変わり無い態度で、俺と接してきた。 電話も、絵葉書も、サークルへの参加も変わらない。 彼女の飲みっぷりやじゃれる様子を見ていると、 あの夜の出来事はやっぱり夢だったのかな、と思えるほどだ。 平成7年1月17日。阪神・淡路大震災発生。 テレビで刻々と現地の惨状が伝えられる中、俺の実家が関西だと知っていた彼女は、 その朝に心配して電話を掛けて来てくれた。 幸い実家の無事を確認していた俺は落ち着いていたものの、 彼女の優しさに改めて嬉しくなる。 大学卒業を控えた3月。 藤崎は卒業記念に何か普段出来ない事をやろうと話を持ちかけてきた。 「何が良い?」 「行ってみたい所がある」 「どこ?」 「ストリップ小屋!一度見てみたんだよね」 「ストリップゥ?いいじゃん、自分が鏡の前で脱げば」 「他人の裸だから見たいんでしょうが!」 後日、俺と藤崎、その友人2人と4人で名古屋銀映へ出向く。 舞台上の踊り子達が皆、俺達の方をジロジロ見ていたのが印象的だった。 自分達と年の変わらない女性が自分達の裸と踊りを見ているのだから、 何かと動揺するのも分かる。 平成7年春。大学を卒業。 社会に巣立った藤崎は、就職先でトラブルに遭い、精神的に参ってしまう。 引きこもるようになり、元気を無くして相当痩せたよ・・・と友達伝いに聞いた。 自分からはあまり弱音を吐けない藤崎。 しかし彼女からは何の音沙汰もなかった。 心配になった俺は電話を掛けたが、彼女は電話口に出なかった。 それ以来、しばらく彼女とは連絡が取れなくなる。 それからほぼ3年後。 サークルの知人の結婚式の二次会で偶然藤崎と再会した。 心ならず休職した後、職場も変えて幾分か明るさが戻ったものの、 まだどこか疲弊した様子だ。 外見上でも、幾分かやつれたようだ。 彼とはもう10年近い付き合いになるが、まだ結婚には至らない。 藤崎は導眠剤や抗鬱剤を手放せないうちは結婚も出来ないよ、と打ち明けた。 実は彼にその辺の事情は話せないでいた。 彼と彼の家族に余計な心配を掛けまいとする彼女の気遣いでもある。 自分の過去との対決、そして新しい環境でのストレスや様々な葛藤が 雪崩のように彼女の心を襲い、苦しめていた。 俺は藤崎が見た目や行動とは違う、繊細な女だという事を知っている。 いくら努力して変身しようとしても、人間の本質は変わらない。 俺にはどうする事も出来ない、藤崎が自分自身で乗り越える試練である。 俺は藤崎に学生時代と同様に接していた。 懐かしい顔が並ぶ会食の時、俺は藤崎に冗談めかしに耳打ちした。 藤崎と彼の結婚の時、二次会には出るやるから、と。 平良なんか呼ぶ訳無いでしょ!と彼女から何年振りかの肘うちを喰らった。 呼べる訳無いじゃない・・・と彼女の呟きが続く。 何故かは聞かなかった。 俺は藤崎との、夏の終わりのあのkissを交わした夜を覚えているから。 そして、秋風の冷たい夜に一度だけ結ばれた夜を忘れていないから。 宴の終了直前。 まだ調子が優れないから・・・と語っていた彼女は会場を後にした。 「彼が迎えにきているんじゃない?」 「誰かの幸せを見せ付けられると、自分も浸りたくなるんだって!」 「平良君、あれだけみゆきと仲良かったんだから、探っておいでよ」 先程の血の気の薄い、陰のある表情を思い出す。 酒に勢い付く女達の陰口交じりの冷やかしも聞こえたが、俺は違うと感じた。 ・・・・・・ その久しぶりの再会以来・・・ 藤崎からの連絡は完全に途絶えた。 そして彼女の動向は一切俺のもとに伝わってこない。 |
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