華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2002年08月07日(水)

ある日曜日の若妻。 『夕暮れ』


日本人の『初物好き』はあまりに有名だ。

初日の出、初荷、初詣、初かつお・・・何でも『初』を付けて尊ぶ風習がある。


そして『処女』という女性も、何故か日本人男性だけは喜ぶそうだ。

西洋の男性は相手が処女だというと、みんなガッカリするという。
口説いて、ベッドへ誘うのが面倒臭いからだと言う。


実は俺も初物が好きだ。

会社の新人研修でも、風俗やテレコミの女性でも。

一から教えて「自分の色に染める」ことが好きなのだろう。
そして『教え子』が結果を出すことが、俺にとっても最大の喜びでもある。

それは部下でも、風俗嬢でも変わらない。





「素人の新人さんが入りましたよ」
俺の一番ときめく言葉を、デリヘルの受付が俺に吐いてくる。

今日入店したばかりの23歳の人妻だという。
完全な素人なので「最初は慣れた常連さんに付けて勉強させたい」と言われた。


俺も何度もこの店を利用しており、もはや常連と呼ばれる立場。

早速この女性を予約し、部屋を掃除しながら到着を待った。



日曜日の夕方。
近所ではまだ子供が屋外で遊ぶ声が聞こえる時間帯である。

部屋のドアベルが鳴った。


来た!
そう勇んで玄関のドアを開ける。
そこには童顔で頬が赤く、分厚いコートを羽織った一人の女性が突っ立っていた。

俺は違う人かと思い、気が抜けた。
回覧盤なら置いてもらおう、セールスならとっとと返そう・・・と思った。


 「こんにちは、○○(デリヘル店)から来ました・・・よろしかったですか?」
「あ、あなたですかぁ・・・どうぞどうぞ!」

そう言われないと、近所の専業主婦かと思うくらい地味な佇まいの女性だった。


彼女は部屋に上がる際、玄関の靴を俺の分まで並べてくれた。
なかなか気が利く女性である。
男はそれだけで好感度が上がるのだ。

  
 「今日は呼んで戴いてありがとうございます。はじめまして、エイコです」

居間に呼び入れると、深々と土下座のように頭を垂れて挨拶される。
俺も思わず畏まってしまい、同じように頭を下げた。
こんな丁寧な女性も珍しい。


小柄であったが、メリハリある肉体と一重の垂れ目が可愛い女性だった。

時間を60分で取り、早速居間で話を聞いた。

パート勤めのエイコは、市内のスーパーで働くのだという。
そのパートでは生活が追いつかなくなって、この仕事に手を染めた。


「今日が初めてって聞いたけど、今まで仕事したこと無いんですか?」
 「本当に初めてなんですよ・・・で、凄く緊張しています」

「大丈夫?」
 「・・・判りません、本当に初めてなんで・・・でも頑張ります」


真摯な態度は可愛いものだが、あまりに馴れていないというのも不安だ。
料金に似合うサービスができるだろうか、と。
だったら、俺が教えていけば良いのだけれど。


「どうしてこういう仕事を選んだの?」
 「旦那がリストラに遭っちゃって・・・借金もあるし・・・」

「旦那さんは今、どうしているの?」
 「就職活動中。今日は・・・パチンコ、かな」

「旦那にばれないの?」
 「大丈夫だと思います・・・これは長く続ける気は無いし(笑)」


身体を売って家計を助ける妻。
俺にとっては聞き慣れた理由でも、やはりどこか本心が痛むものだ。


しかし、俺も客。
その辺は割り切って料金に対等なサービスを求める事にしていた。


そんな俺の意気込みを初っ端からへし折る言葉を、エイコは発した。

それは一緒に風呂へ入ろうと誘った時だ。

 「ごめんなさい・・・先に入ってください・・・」

今までこんな発言をしたデリヘル嬢はいなかった。


「え?なんで?」

 「本当にごめんなさい・・・でもダメなんです・・・」
「どうして?一緒に入ろうよ」

 「旦那とも一緒に入ったこと無いんです・・・」
「でも、後で裸になるんだし(笑)」

 「そうだけど・・・お風呂だけはごめんなさい」
「俺、一緒に入って洗い合いっこしたいんだけどなー」

 「どうぞ先に入っていてください、どうしてもダメならお金返して帰ります」


あまりな拒絶ぶりに、さすがの俺も折れるしかなかった。
独り寂しくさっさとシャワーを浴び、エイコに譲る。


エイコも短い時間で浴び終わり、ベッドへと入ってきた。
日曜日の夕暮れ時。

西向きの窓からは、日没直後の濃いオレンジ色の光が差し込む。
昼と夜との絶妙のコントラストが見える。

その宵闇の中で、エイコの色白の身体が夕焼け色に浮かび上がる。

誰に見せても恥ずかしくない、綺麗な肌と肉体の曲線。
俺も息を飲むほどだ。


 「明るくて、見えちゃう・・・恥ずかしい」
「大丈夫、俺も目が悪いから・・・」

だからコンタクトレンズをしている、という事は内緒にしておいた。
実は小皺から毛穴まで、エイコの身体の隅々まで見えるのだ。








↑エンピツ投票ボタンです。今回は初心に返って(?)3部構成です。




抱き合い、顔を寄せ合う。

照れ隠しなのか、互いににやけつつ囁くような会話を交わし合った。



<以下次号>


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