華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
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2002年07月07日(日) 黄昏のいちご海岸通り。 〜起〜 |
俺は幸か不幸か、この歳になるまで自分の結婚には縁が無い。 この女を嫁にしたい、という出逢いや付き合いはあったが、 相手には物足りない存在だったようだ。 いつしか、俺の元から去って行った。 もうこの歳なので、友人など周囲の結婚式や披露宴に立ち会う事は多い。 特に男友達の結婚の時には、 “年貢の納め時”という餞の言葉を贈ることにしている。 もう遊べないぜ。 さっさと家庭に収まって良き夫、良きパパになりな。 俺はもうしばらく独身生活を謳歌させていただくがね。 そんな俺からのメッセージだ。 女性にとって“遊ぶ”という言葉の意味が、 男のそれと比べて破廉恥に響いてしまうのではないだろうか。 しかし自由な恋愛や友人関係を楽しんできた人が、 これから一生一人の夫と暮らすことに 不安や寂しさを感じることも、また事実だろう。 『最後の悪あがき』を企む女性、俺は気持ちを理解できないでもない。 ある程度カード式のツーショットダイヤルで遊んでいると相手女性の狙いが読み取れてくる。 大抵が次の3種類に分別できた。 声優顔負けの迫真の演技を披露してくれる、サクラ。 じゃあ3万円ね、と吹っ掛けてくる援助交際目的の女子中高生や主婦。 あるいは悪意に満ちた悪戯でいきなり電話を叩き切る、心寂しい女。 まともに会話が出来る一般の女性はあまりいない。 しかし不思議なもので、万に一つの出逢いを求めて男は電話を掛けてしまう。 何度か利用していると、その「万に一つ」に繋がるものなのだ。 いい加減聞き飽きた音楽が途切れ、機械の無機質な音声でアナウンスする。 『お相手が見つかりました、どうぞお話しください』 「もしもし?」 「あ、もしもしぃ」 「はじめまして」 「あぁ、こんばんわ・・・」 横柄な口調の、若い女の声だった。 援助交際ではないことを祈る。 「そっちは、いくつ?どこに住んでる?」 女から積極的に質問してくる。 これこそ援交目的な女のパターンだ。 「俺・・・26」 「ふぅん、私24。仕事何やっている人?」 「俺?営業」 「そっかぁ。爽やかだね。Hな感じしないね」 そういえば、ここはテレフォンSex用のツーショット。 そんな気分の時だったのだ。 「そうかね?自分じゃわかんないけどね」 「面白そうなお兄さんじゃん・・・彼女いるの?」 女は何やら突っ込んだ質問を始めた。 「今はいないよ」 「本当にぃ?・・・いてもいないって言うし。怪しいからなぁ、男ってのは」 こういうツーショットにしては珍しく順調に話が弾んだ。 彼女の名前は、美香。 24歳で静岡の病院に勤める看護婦だという。 「美香ちゃんもよく電話するんだ?」 「私?・・・最近ね」 「なんかあったの?彼氏とケンカしたとか・・・」 「う〜ん、ケンカもするけど・・・そうじゃないんだな」 「彼氏いるんだ?」 「まぁ、一応ね。来年結婚するし」 「じゃ、こんな所へ電話する事ないんじゃない?」 「えへへ、色々あるんだって」 美香はれっきとした婚約者がいるという。 そして来年結婚するのであれば、本来なら浮気などする心の隙などないだろう。 しかし美香は最近このテレH用のツーショットを利用するという。 それも目的はテレHだけに留まらない。 「どうせならさぁ、会ってやりたくない?」 「でも、こういう所の男はみんな会ってやりたがるでしょ?」 「でも誰でも良い訳じゃないよ」 「どうするの?」 「まずは話してみて、それからテレHしてみて、私と合いそうな男だけ選ぶ」 高飛車な態度を採る美香は、俺を『事前審査』をするという。 横柄な口調、生意気な態度。 こんな女、初めてだ。 ・・・面白いじゃないか。 会話は徐々にテレフォンSexに向かう。 俺は言葉攻めで美香を妄想まみれにして、攻めに攻めた。 感度が良いのか、美香は随分あっけなくエクスタシーに達した。 時間も短く、決して深いものではなかっただろうが。 「お兄さん、上手だねぇ・・・好きだよ、遊び馴れてる男」 後腐れがないからだろう。 何せ結婚が決まっているのだから。 「俺なら、どうよ?合格?」 「お兄さんとだったら、やってみたいね・・・グショグショにして欲しい」 「いいよ、でも看護婦さんだったら、休みが合わせづらいね」 看護婦は日勤、準夜勤、深夜勤の3交代制なので、普通のサラリーマンとは休みが合わない。 おまけに日曜や祝日は間違いなく彼氏と一緒。 何も結婚が決まったのに、そこまで一緒に居るのも息が詰まってくるのだろう。 マリッジブルーとやら言う、女の鬱だろう。 「でもね・・・この日ならいいや」 美香は月末の日曜日を挙げる。 その日は一日中休みで、彼氏は趣味のサッカーの試合で昼間は会わないという。 俺も、予定なく空いている。 「いいよ、月末の日曜で」 「あのさぁ、こっちに来て欲しいんだ」 美香は俺に静岡へ来い、という。 「そりゃ構わないけど、静岡のどこ?」 「静岡市。新幹線なら静岡駅だね」 少々遠い。しかしここまで話が盛り上がっておいて、断る気もない。 「いいよ。新幹線で行くか」 「じゃ、決まりだね」 その場で互いの電話番号を交換した。 一度電話を置き、教えてもらった番号に改めてダイアル。 悪戯かどうかを確認するためだ。 「もしもし」 「ね、本当だったでしょ?信じる?」 こうして美香との関係が始まった。 <以下次号> |
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