華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜
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2002年06月30日(日)

一生に一度の夜。 〜完結編〜


<前号より続く>



美紀子が帰る日の昼前。


美紀子が部屋で着替えている。
彼女も気に入った尾崎亜美の「ラピス・ラズリ」がBGMだ。

俺は台所で扉を閉められて待たされる。
扉はきっちりと締め切られていない。
隙間から、着替えてブラをつける美紀子が見える。


 「平良ぁ・・・見てるでしょ」

横目で隙間からチラチラと見ているのがばれていたようだ。


 「入ってきていいよ」

美紀子に呼ばれて部屋に入ると、ブラをつけていない上半身裸の美紀子。


 「男の子だもんね・・・最後に私の身体、触ってもいいわよ」

俺は躊躇したが、結局言われるがまま美紀子の背中越しに抱き、胸を揉んだ。


名古屋駅に迎えに行ったのは、一昨日。

美紀子がうちに2泊。
その分深く絡み繋がった女の身体と男の身体。

彼女の身体は、もう分かっている。

柔らかい胸の芯にある固い部分を、掌で揉み上げるように大きく包む。
途端に美紀子の息が漏れ、力が抜けた。


俺は美紀子を仰向けに寝かせ、水色のショーツを下す。

そして両腿を開かせて、ヘアに包まれた美紀子自身を見つめた。


今までとは違って、昼間の明るい部屋。
今度は色、形まで全て丸見え。


綺麗な薄いピンク色が、早くもうっすら潤んでいる。
俺は美紀子に喜んで欲しくて、自身にむしゃぶりついた。

どこをどうすれば感じるか、すでに分かっているつもりだ。


俺は彼女の弱い部分を復習がてら、舐め上げる。
美紀子が俺の髪を両手でわし掴み、腰を浮かせて泣き喘ぐ。


 「いいっ!いいっ・・・平良、すごく上手よ!」

美紀子が好きになっていた俺。
だから感じて欲しいんだ。


両腿に力が入っている。
もうすぐ美紀子がイきそうだ。
俺は突起に吸い付いて、舌先で細かく舐める。


「ああん、ああん、平良ぁぁあっっ・・・・」

美紀子が全身で仰け反る。

両腿で俺の頭を挟み込み、物凄い力で締め上げる。
イッているのだ。

しかし俺は夢中で快感に溢れる美紀子の両腿と濡れそぼった自身に密着させられて、
呼吸が出来なくなった。
そんな体勢が数十秒。



・・・窒息する!?


俺は夢中でイき続ける美紀子の尻を横から叩いて、腿を振りほどいた。


 「ゴメンナサイ・・・だってすごいんだもの・・・」

美紀子は謝ってくれたものの、別に悪い気はしない。
それだけ快感が深かったのだろう。

挿入しようかと思ったが、使い切ってしまい、ゴムが無い。
思い出してみれば、慣れない装着でも随分失敗した。

ゴムが無くてもいいじゃん、と悪魔の囁きが聞こえる。
やはり相手の女性の気持ちを考えると、避妊はしたい。

俺は、きっともう美紀子を愛している。


溢れる欲望を抑えきれない俺だったが、これが最後になるわけでないのだから・・・、
と自分に言い聞かし、次回に持ち越した。

その旨を伝えると、美紀子は俺を抱きしめてくれた


 「平良、優しいのね・・・好きよ、大好き・・・」

そのまま、出発予定の時間を越えてまで抱き合っていたように思う。



 「平良、私が浮気したら、怒る?」

帰りの地下鉄の車中、こんな事を口にする美紀子。


「・・・いや、俺に戻ってくれば怒らないよ」

美紀子にとっては、意外な言葉だっただろう。
俺の方へ向き直る。


「いろんな人と出会うことが悪いことじゃないし」

この基本的なスタンスは今も変らないものの、
当時はちょっと大人ぶって、そう返事した。


 「ふぅん、そうなんだ・・・」

つまらなそうに、拗ね気味に返事する美紀子。



夕方の名古屋駅新幹線上りホーム。
博多発東京行きのひかり号を待つ人の中に、俺と美紀子がいる。


 「また、おいでよ」
「いいのぉ?また来ても」

 「だって、俺が君んちに行ったらあかんのやろ?」


美紀子は吹きだす。
俺ももう怒らない。

美紀子は何故か、私に会いに東京に来てはいけない、と言っていた。
深い理由は聞かなかった。
信じていたから。


美紀子を乗せた新幹線が、東京に向けてホームを滑り出した。
再会を約束したとは言え、別れがこれほどまでに切ないものだとは思わなかった。

俺は美紀子を乗せたひかり号が見えなくなるまで見送った。
いや、見えなくなってもしばらくその場を動けなかった。


寂しい。


2泊3日の美紀子との時間は、とても充実したものだった。

初めての切なさ。

俺は次の新幹線が入線するまで、その場から動けなかった。
動いたら、もう会えない気がしていたからだ。



「一度抱いたら、人柄が変わる」

男によく言われる言葉だ。

東京に帰ってからの美紀子は、それまでの彼女とは別人になった。

美紀子は秘密の多い女性だったが、会ってからは次々と黙っていたことを白状する。


20代半ばに見えた年齢は、実は32歳。
バツイチで、子どもは12歳であること。

実業家の夫と離婚し、莫大な慰謝料で裕福な暮らしをしていること。
現在は某大手自動車会社の役員と愛人関係であること。
またその人と繋がりのある役員と二重の愛人関係でもあること。

俺とは本気で付き合う気が無かったこと。
つまり、たまに若い男をつまんでみたかった、という事なのだ。


今では何とも思わないが、当時は相当ショックだった。
俺が思い描いていた交際と言うものが、音を立てて崩れた。


裏切られたのか。
彼女の予想以上に熱を上げだした俺を牽制しようと、嫌われようとしたのか。


俺は電話で思わず美紀子を責める。
美紀子も泣きながら、俺をなじる。

今度は、初めての修羅場。



 「平良、私が浮気したら、怒る?」

地下鉄車中の言葉には、そんな含みがあったのか。


 「男の子だもんね・・・最後に私の身体、触ってもいいわよ」

そしてこの部屋での美紀子の「最後に・・・」の言葉は、
一度だけの遊びを表した言葉だったのだろうか。



しばらく美紀子を諦めきれなかった俺は、半年ほど電話をしていた。

だいたい1〜2週間に一度、彼女が休みの日を狙って電話する。
電話では、素直に話をしてくれる。

電話代も相当な金額だったが、美紀子とのつながりは切りたくなかった。


しかし、今度俺が東京に行くから時間作って、と懇願してもダメだった。
自分の隠しておきたい生活に、触れられたくなかったのだろう。

美紀子からも再会したい、という話は絶対に出なかった。

遊びは一度きりでいい・・・そんな大人の割り切りが
まだ何もかも子どもだった俺に辛い現実を教えてくれた。
初めての自棄酒。


アセドアルデヒドが全身を駆け巡り、
割れ鐘が鳴り響くような頭痛と、突き上げる嘔吐が俺を襲う。


それでも、自分自身を責める。



 「もういい加減、私を諦めたら?」

あれからの美紀子から何度も出た言葉だ。

意地を張り続けていることに、疲れた。
俺はもう戻らない関係に終止符を打つ決心をした。


彼女が忘れて帰ったいい香りのシャンプーとリンスを捨てた。

初めて美紀子を抱いたあの秋の夜から、次の年の春になっていた。



子どもが成人したら、アメリカに移住する・・・と美紀子は夢を語っていた。

日本の学校が嫌い、教育が嫌いだ・・・ということで、
近所のアメリカンスクールに通わせていた。

その学校も、経営難から今は廃校になっている。



今考えてみればバブル経済崩壊直後の、まだ人々がお金を持っていた頃。
現実味の希薄な、夢見心地の時代。

美紀子が今はどこで生活しているか、知る事も無い。
ずる賢く、小悪魔的な魅力のあった彼女だから、今も元気にしているだろうな・・・


あれから、11年。
俺は男として、どう成長しているのだろうか。

少なくとも、あの頃よりも「女の抱き方」と「割り切り方」は身に付けたつもりだが。







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 ☆また長くなりましたが、最後までご愛読ありがとうございます。
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  今はあの頃と比べて、随分変わりました。
  自分だけでなく、治安面や経済面も隔世の感がありますね。

  次回も「華のエレヂィ。」を宜しくお願いします。


20021205  行間修正



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