華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
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2002年06月20日(木) 必要悪、ヒツヨウアク。 その1 |
必要悪。 あればあったで良くないものでも、無ければもっとひどい状況になるもの。 学校などではまず教えない言葉だろう。 俺は「水商売とは何か?」「風俗とは何か?」などを考えるとき、 真っ先に『必要悪なもの』と思うだろう。 普段の生活には必要ない商売ではないか。 冷静に考えてみれば。 まだ俺が ヘルス嬢だった「景子(クミ)」 と付き合いがあった頃のことだ。 景子はよく、その店に起こった様々なハプニングを面白おかしく話してくれた。 また、仲の良いヘルス嬢の話も聞かせてくれた。 女は食い物、買い物と喋ることでストレスを発散すると言う。 景子は派手な買い物をする傍ら、お喋りも達者だった。 景子が店に復帰したある日。 「うち(景子の所属していた店)の他の娘に入った?」と尋ねてきた。 「いや・・・景子だけだって」と俺は答える。 「うまいなー、こんな所で」 お世辞ではない。 あの頃は風俗など人生で一度きり、と思っていた。 景子は笑いながらあっさりと言い切る。 「もっと遊べばいいのに!」 確かにそうなのだが、何せ自由に使える金がそうそう無い頃だ。 景子はある嬢の名前を出した。 「平良君だったら、ユウコなんかいいとおもうけどなぁ・・・雑誌に載ってるよ」 俺はその雑誌をめくって、その店のページを探り当てた。 数名並んで載っている広告写真の中で、ユウコと名のある女は右端にいた。 長身でスレンダー。俺の好みだ。 しかし顔は大きなピンクのハートで隠れている。これでは全く分からない。 プロフィールには、ユウコ23歳・B85・W60・H88とある。 「いい感じじゃん。俺の好み、よく知ってるね」 「綺麗だよぉ・・・でも本当はうちらより1コ上なんだけどね」景子は口が軽い。 実際はプロフィールより4つ上になるようだ。 こういう業界の数字は、何一つ当てにならない。 嬢の年齢も、サイズも。悪徳店なら料金さえも。 「見えないねぇ、とても28には・・・」 「今度幼稚園に入る娘さんがいてね、その養育費を稼いでるんだって。 だから早番なんだ」 「旦那は?」 「いないんじゃないかな・・・」 そんな話を聞かされた俺は、ユウコにちょっぴり興味を持ち始めた。 ただ金は無い。 そして当時の俺は、モラトリアム学生からの脱却を図って初めての就職を控えていた。 気持ちの余裕もあまり無い。 いつしかそんな話を忘れていた。 ほぼ一ヵ月後。 新しく入った会社で営業課に配属された俺は、早速理想と現実のギャップに苦しんでいた。 その会社は教育関係の会社で、一軒一軒子どものいる家庭を回って塾の勧誘をする。 しかしいわゆる「悪徳」会社だと、入社してから知った。 言わば、子どもを思う親心を悪用する営業を強いられる事になったのだ。 割り切ってしまえばどれも「仕事」なのだが、そんな割り切りはつかなかった。 勤めだして4日目。 帰宅途中の電車の中。 俺は苦悩と苛立ちを発散する術を持たず、ひとり苦しんでいた。 電車はある駅に到着した。 景子のいた店の最寄駅だ。 車内でつり革に捕まり立っていた俺は無意識に降り立った。 そこで俺は思い出した。 景子から聞いたユウコの話。 一度会ってみようかな。疲れきっていた俺の心がそう囁いた。 金なら無理すれば出る。 俺は迷っているはずだが、気が付けばすでに駅を出ていた。 真っ直ぐにその店のあるビルに向かっていた。 エレベーターに乗り、その店のある階を押す。 ドアが開いた。 中年女性の店員が早速近寄ってくる。 「いらっしゃいませ、ご予約は?」 そういえばユウコが出勤している事を確認していなかった。 「いや、何も」 「そうですか、それではこちらへ」 待合室に通された俺は、四枚の写真を渡された。 「この中から、お好みの女の子を選んでください」 ポラロイド写真には名前と簡単なプロフィールが書かれていた。 お世辞にもかわいい、と言える娘はいなかった。 名前を見ると、その中の一枚に由布子という漢字がある。 振り仮名は「ゆうこ」。 水商売系の派手めなルックスだ。 「この娘を」 俺は由布子を指名した。 「ありがとうございます。早速確認しますのでお待ちください」 烏龍茶を持ってきた店員は事務室に入っていった。 確認とは、先にカメラかミラーで嬢に客を確認させ、 OKかNGかを判断させるのだそうだ。 「大丈夫です。準備しますので少々お待ちください」 10分後。 テレビのJリーグ中継を眺めていた俺は店員に促され、カーテンの奥に入った。 「こんばんはぁ、由布子です」 写真で見るよりもずっと愛嬌のある笑顔で俺を迎え入れてくれた。 <以下次号> |
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