愛玩人形の抱き方+
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あなたが、巧みな話術や、素敵な仕草、優しい気遣い、完璧なマナーで人を虜にしている光景を見る度、私は誇らしい気分になる。 もっともっと人を惹き付けて。誇らせて。 例えば三つ離れた席で、三つ隣のテーブルで、そんな姿を見て、こっそり微笑むのはささやかな楽しみ。 だから、あなたにもっと人に会って欲しいと思う。そして魅了して欲しいと思う。
願ったのは、私。
分かってる。
分かってる。 それは理屈じゃなくて。 私は、私の前であなたが女性に優しくしているのが厭。私の居ない所であなたが女性に優しくしているのが厭。あなたが女性に触れるのが厭。あなたが女性を見るのが厭。
誰も見ないで。触らないで。約束して。私に、私だけに優しくして、抱いて。
矛盾を抱えて、私は今日もあなたと接しただろう名も知らぬ人間の女たちに嫉妬してる。 やきもち、等と可愛い言葉で済まされるのか? いや。もっと醜くて不条理で身勝手で気味の悪い感情。多分、執着。 そんな思考の回路を知られたくない、と思う。 ただ愛されているだけの人形だと思っていて欲しい。
誰だって多重人格者である。
市野の持ち主は、市野にはそんなに要らないと言っていた。
覚えの無い傷を発見する。
勝手に傷をつけるな、と怒られる。私の身体なのだから、と。 ねえ、それなら、手元に置いていて。私を洗い、磨き、飾り立てて、愛して。
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