2013年01月08日(火)  あなたの塩をいただいています(イランの挨拶)

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ (権中納言定家)

タイトルに惹かれ、今年最初に手に取った短編集『日本語の冒険』(阿刀田高)の中に、「塩」が登場する和歌が出てきて、年末に贈られた塩のことを思い出した。

友人の木村美砂さんが製作を手がけたドキュメンタリー映画『しおのかぞく』を一家で見に行った(>>>2011年11月20日(日) 映画『ひとにぎりの塩』とたこ焼き宴の「食」)のが縁で、わが家もすっかり能登の塩のファンになったのだけど、木村さんは、ご塩(縁)が高じて、楽天市場にしおのかぞくというお店を出すに至った。

年末にわが家で食事会を開いたときに、木村さんと、映画の宣伝をお手伝いした縁でそのまま「しおのかぞく」にも関わっている栗原さんにも声をかけたのだけど、そのときにお土産にいただいたのが「桜塩」と「中島菜塩」のセットだった。



「無農薬で米作りから酒造りを楽しむ会」で知り合った音楽家の小室ひろさんが買い求めて来た小川町の無農薬大豆で作ったざる豆腐にかけたら、完璧な組み合わせ。究極の豆腐と究極の塩、これぞ究極の贅沢と舌鼓を打った。

ぱらぱらっとふり入れてご飯を炊いてもよし、塩豚を仕込むのに使ってもよし、蒸し野菜の味つけにもよし。塩は長持ちするので、いいものを使うに限る。

この食事会には、イラン生まれ、生まれ育ちのS君もいて、「イランでは、お世話になっています、というのを『あなたの塩をいただいています』と言うんです」と教えてくれた。塩がとても貴重なものであることがうかがえる言い回し。子どもを褒めるのに「この子は塩っぽい」とも言うらしい。塩が足りているということが、幸せのバロメーターなのだ。

そういえば、salaryの語源も塩で、その昔は塩で給料が支払われたってことよね、などと塩談義もおいしくいただいた。塩には蘊蓄話が似合う。

話は戻って、藻塩の歌。年末にこの和歌をさっと頭から取り出せたら良かったな、と思いながらページをめくったのだった。権中納言定家は藤原定家のこと。

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