2012年12月29日(土)  「中濃」のおかしみを伝える表現力

昨夜は、つるつる忘年会。

「まめさんテレビ」や「メデコミ会」を手がける自己演出プロデューサーで同郷の鶴野充茂さん(ツイッターは@mame3)と、講演セミナーに引っ張りだこの「伝説のホテル」の起業家・鶴岡秀子さんの「つるつるコンビ」に今年も声をかけてもらった。

新聞でインタビュー記事を読んで一方的に存じ上げていた鶴ちゃんを、去年の忘年会で鶴野さんから紹介されて、はや一年。去年もいたメンバーは、鼻歌からも作曲できる万能音楽家の尾飛良幸さんと、わたし。他に、「広報会議」編集長の上条慎さん、おとりよせネットなどグルメ系サイトをいくつも手がける粟飯原理咲さん、バツグンのコンペ勝率を誇るデザイン会社メルクマールの森田智子さん、と会場の中華料理屋のメニューに負けない多彩な顔ぶれ。

そして、もう一人、先日の東京泉北会でわたしと鶴野さんが出会ったばかりの「大阪府」と呼ばれる男性がいた。

「大阪府」氏は、大阪府の職員で、4月から東京に赴任しているらしい。泉北会の締めのときに姿が見えず(トイレで順番を待っていたと本人談)、「大阪府どこ行ったんや?」「大阪府どないなってるんや?」となり、以来、本名ではなく「大阪府」と呼ばれることになった。

泉北会ではあまり話せなかったのだけど、この「大阪府」氏が、かなり面白い人であることが、昨夜飲んで、わかった。

いちばん笑わせてもらったのが、「中濃」。

「スーパーの棚にね、『中濃』、いうソースがあったんですわ。中濃? なんやねん、君は? なんで、中濃やねん? せやかて、中濃やで? 中濃、て……」

他の人が言うとなんてことのない話なのに、「中濃」という単語が「大阪府」氏の口から飛び出すたびに、テーブルは爆笑。他の話題に移っても、思い出したように「中濃……」で、また笑かされる。果ては「大阪府、知事狙ってんの?」「出馬するとしたら、中濃左派?」という冗談も飛び出し、腹筋がひきつるほど何度も笑うことになった。

一夜明けても「中濃最高〜!」と出席者の間でメールが飛び交っているが、この「中道」のおかしみを、その場にいなかった人に伝えるのはとても難しい。

お酒の勢いもあるし、笑い上戸ぞろいのメンバーという場の力もある。率先して大声で笑う鶴ちゃんにつられて、というのも、もちろんある。

それにしても、なぜあんなに笑えたのか。「大阪府」が「中濃」と口にするときの、間の取り方、声のトーン、表情……それらの絶妙なブレンドのなせるワザか。

慣れ親しんだ大阪のスーパーでは見かけない「中濃」を目にしたときの驚きと戸惑い。日常に潜む未知との遭遇。これは何ぞとまわりに聞ける人もおらず、おそるおそる「中濃」に話しかける、淋しく頼りない中年男の哀愁。もっと知りたい、でも「大阪府」としてはそう簡単には魂を売れないという葛藤。「中濃」のたった二文字に、そこまで心揺れてしまう自分に、ますます動揺を隠せない。

まさにソースのような渾然一体となったおかしみ成分を、鮮度そのまま言葉に置き換えることができない。

「中濃」のおかしみを伝えられる表現力を、来年は身につけたいと思う。

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