小説を書きたいと思っているところに、短編で4、5本書いて欲しいという依頼が舞い込んだ。脚本を書くのとは文体が違うし、小説家としてバリバリ書いている人のほうがいいのではと答えると、依頼者は、まだあまり色がついていない人がいいのですと口説いてくれ、まずは一本書いてみることにした。その調子でと乗せられ、書いているうちにアイデアがいろいろ浮かんできて、4本になり、6本になり、この数日でさらに4本ふえて、10本になった。
作品はある場所を舞台にしており、今月中にそこを訪ねて取材し(脚本でいうところのシナリオハンティング、小説の場合は何と呼ぶのだろう)、細かい描写を書き込む予定。スケジュール通りに行けば、この秋、そのとある場所のサイトで公開されることになっている。
脚本は作品を仕上げるためのベースになるものだけど、小説はそのものが読み物として成立するものだから、いいところも悪いところも全面的に書き手の製造責任となる。そこが怖くもあり楽しみでもあり……。
ネットで読める小説と言えば、講談社のコミック誌「モーニング」のサイトで公開中の「おやすみなさい。良い夢を。」は独特の空気感を持った物語。著者、三山佳依の名前にピンと来る方はかなりのいまいまさこカフェ通。
小説にかまけているせいで、このところ子守話はさぼりがちで、娘のたまに聞かせるのは、もっぱら「ニュースたま」。たまもだいぶ言葉が豊かになって、お返しに「ニュースママ」を聞かせてくれるのだけど、「きょう ママは おしごとを いっぱいしました」と仕事の話が多くて、淋しい思いをさせているのかなと後ろめたくなる。「今日はたまの前でパソコンしなかったでしょ?」と反論したところ、「きょう ママは おしごとを ちょっぴりしました」と修正された。
ちょっぴり更新ペースを上げて、3日ぶりの子守話は、前々から作ろうと思っていた黄色い自転車の話。たまは小豆島のことを「ぼくとママの黄色い自転車の島」と記憶していて、小豆島で滞在したゲストハウスのことは「ぼくとママのおうち」と呼ぶ。
子守話95「たまちゃんと きいろい じてんしゃ」
たまちゃんが みつけた きいろい じてんしゃは ふしぎな じてんしゃ。
きいろい じてんしゃが はしった あとには きいろい おはなが さきます。 きいろい ちょうちょたちが あつまってきて まってまってと きいろい じてんしゃを おいかけます。
ふわりと そらに まいあがると ことりたちが こっちこっちと さそいます。 ぐんぐん そらたかく ペダルを こいで なないろの にじに ちゃくち。 にじの はしっこから さんぼんめ きいろい みちの うえを きいろい じてんしゃは すいすいと はしります。
にじの さかを くだりきると うみの うえ。 きいろい じてんしゃは ふねよりも はやく はしります。 きいろい さかなたちが すごいすごいと とびはねます。
うみの そばを はしる きいろい でんしゃと おいかけっこ。 きいろい じてんしゃも はやいけれど でんしゃは もっと はやい はやい。 えきで とまっている あいだに きいろい じてんしゃが おいこします。
きいろい じてんしゃで おうちに かえると おやつは たまごいっぱいの きいろい プリン。 きいろい じてんしゃは ふしぎな じてんしゃ。 たまちゃんが プリンを たべている あいだに どこかへ きえてしまいました。
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2006年10月05日(木) 『シュガー&スパイス』のグランマ
2000年10月05日(木) 10年後に掘り出したスケジュール帳より(2010/12/08)