全26週156話の「つばさ」は半分にあたる第13週第78話までが放送終了。ストーリー上は前半後半と分けているわけではないけれど、明日の第14週第79話から後半となる。
第14週のタイトルは「女三代娘の初恋」。妻になっても母になっても女であるように、母になっても祖母になっても娘なのだなあとタイトルを見て思う。子どもの頃、母の恋を聞き出すのが好きだった。見合い結婚だった父とのドタバタコメディのようなデートの話に何度も笑ったが、わたしが生まれる前に他界していた祖母の恋の話もよく聞かせてもらった。何をするにも熱く激しく、恋愛もそうだったらしく、会ったことのない「恋するおばあちゃん」にかっこいい人という印象を抱いている。そんなわけで、第14週で千代の恋が明らかになるのは、なんだかうれしい。女に年齢制限はないのに、日本のドラマや映画は、おばあちゃんの恋を封印してしまっている傾向がある。とくに朝ドラでおばあちゃんを恋する存在として描くのは、珍しい気がする。
キーアイテム(アイテムなのか?)は大衆演劇。鏡花原作の「婦系図(おんなけいず)」を翻案した大衆演劇をラジオぽてとのイベントで上演するのだが、それに乗せて玉木家の千代(吉行和子)、加乃子(高畑淳子)、つばさ(多部未華子)の女三代の初恋を描いてしまうという「つばさ」の中でもとくにアクロバティックな展開。舞台用の台本に本番の大胆なアドリブが加わり、それでいて筋の通った一本の芝居に見えて、それが劇中劇として機能する……という脚本が組み上がっていくのを、魔法を見るような思いで見ていた。これまた離れ業な演出は、1〜3、6、10週を担当したチーフディレクターの西谷真一さん。
人物相関図、練習風景など、お芝居がらみの小ネタも満載。どの登場人物が劇の中でどの人物を演じるか、キャスティングの過程やそれぞれのキャラクターの活かし方にニヤリとさせられる。演出を買って出るのは、なんとあの人。演出モードの彼女の新境地も楽しいし、つばさワールドの住人の新たな魅力をそこかしこに発見できる一週間。着物姿のみなさんも新鮮で、つばさも真瀬も麻子も和装がよく似合う。川越キネマのホールで演じられる大衆演劇の本番は、ナマで見たい!と思わせる気合の入った熱演。のど自慢のときからさらに進化したホールにも注目。
新しい登場人物は、品のある渋い存在感を放つ葛城清之助(山本學)。文化振興財団の理事長としてラジオぽてとに現れる彼には、別な顔が……。葛城さんに注目して観ると、よりハラハラ感が高まって楽しめるかも。
続く第15週「素直になれなくて」には、「ベッカム一郎の朝イチ! 豪快シュート」のベッカム一郎(麒麟の川島明)が、ついに登場。今井雅子のクレジットも毎日出るので、第14週から引き続きお楽しみください。
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