シナリオ講座で教える友人から「プロデューサーから言われたセリフで、これは許せないとか信じられないとか、逆にうれしいことで印象に残っていたりする言葉とか、何かないですか?」と質問が来た。講座でプロデューサー対策を話すにあたって、実体験を集めていたらしい。
こんな返事を書いた。
言われてグサッという言葉、ほとんどないです。
広告時代に比べると、マイルドだなあという印象で。
脚本家にへそ曲げられたら終わりなので
気をつかってくれてるんだなあと思います。
「初稿面白かったです」とまずほめてから
「ただ、シーンのつながりがなだらかじゃないですね」とか
「テーマがぼけてますね」とか
「こころもとない場面がいくつか」のような言われ方。
ひどい言葉ではないけど
「だらだらと長い」「いらない台詞が多い」などと言われると
うちのかわいい子になんてことを!と思います。
あと、本直しした後で「前のほうがよかった」「悪くなった」と言われると、
直しのあの労力はなんだったの〜となります。
プロットから脚本になって「こんな話でしたっけ?」と言われるのも悲しい。
「今井さんの脚本にはいいところもありますが
悪いところも同じぐらいあります」
これは最近言われた言葉。
楽天的な性格で、おみくじもいいとこだけ信じるので、
こういうときも「ほめられた」ほうを覚えておきます。
『子ぎつねヘレン』のプロデューサーに
「きみ、ト書きがへたくそだね。どこで勉強したの?」と言われたとき、
「じゃあ台詞はうまいってことですね」と喜んであきれられましたが
そのプロデューサーは、わたしの打たれ強さを面白がってくれてました。
きついこと言われるときは「別れ言葉」ですね。
友人の脚本家が、放送後の作品の感想を求められたときのこと。
「あの女優さんの演技が痛かったですねえ」と軽く言ったら
「痛いのはあなたの脚本です」とプロデューサー。
わたしの知る限り、これが破壊力最強です。
友人は講座のつかみでいくつか紹介して、無事生徒さんの爆笑を取ったそう。
質問に答えて、あらためて思ったのだけど、広告代理店のコピーライターを経て脚本家になってよかったのは、「ボツを食らう」ことに慣れていること。自分が書いたものを否定されるのは、自分を否定されるようで、すごくへこむけれど、コピーライター時代にずいぶん鍛えられたおかげで、ダメージは最小限に抑えられている気がする。書き続ける(直し続ける)気力と体力、それが脚本家には何より求められる。
今日の子守話は、娘のたまが「にじのぼる!」と一生懸命訴えるのを聴き、「虹にのぼるなんて、子どもらしい発想だなあ」と『オズの魔法使い』のOver the Rainbowを連想して、生まれた話。後になって、壁に立てかけたマットレスを前に「にじのぼる」と言ったことから、「よじのぼる」を言い間違えていたことが判明。まさか「にじりよる」と混同? それとも「4時」のぼるが「2時」のぼるに化けたのか?
子守話71「クレヨンのにじ」
そらに おおきな にじが かかった あるひのこと。 たまちゃんが にじを ゆびさして いいました。 「あの にじに のぼりたいよう。 にじに よじのぼって すべりおりたいよう」
ところが にじは はしっこが きえてしまって じめんから とおく はなれた そらの とちゅうから はじまっていました。 「どうしよう。はしっこがないと にじに よじのぼれない」 こまった たまちゃんは にじの はしっこを かくことにしました。
なないろの クレヨンを つかって たまちゃんは そらに にじを かいていきました。 ところが にじを かいている あいだに ほんものの にじが どんどん きえていきました。 クレヨンの にじを かいても かいても ほんものの にじが にげていきました。
とうとう クレヨンの にじだけが のこりました。 まだまだ にじは みじかいけれど たまちゃんの なないろの クレヨンは すっかりみじかくなって つづきを かけなく なくなってしまいました。
そこに、 「わあ クレヨンの にじだ」 「ぼくにも かかせて」 クレヨンをもった おともだちが あつまってきました。 なないろの クレヨンを もった おともだち。 あかい クレヨンだけを もった おともだち。 あおい クレヨンだけを もった おともだち。
みんな かきかけの クレヨンの にじに のって なないろの にじの つづきを かきました。 みんなの クレヨンが どんどん みじかくなって クレヨンの にじは どんどん ながくなりました。
クレヨンの にじが そらいっぱいに ひろがりました。 ほんものの にじよりも くっきりした いろあいの にぎやかで たのしい にじです。 たまちゃんと おともだちは にじに よじのぼって すべりおりると こんどは はんたいがわから よじのぼって すべりおりました。
なんども よじのぼったり すべったりしているうちに みんなの ふくに クレヨンが くっついて クレヨンの にじは どんどん やせほそっていきました。
そして いつのまにか クレヨンの にじも きえました。
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