2009年02月24日(火)  「ひつじが1匹」から「ひつじが100匹」までのお話

娘のたまを寝かしつけるのに毎晩苦労している。一日中保育園に預けられているので、6時にお迎えされて、晩ご飯を食べて、お風呂に入って、そこからが母親と遊べるゴールデンタイム。「良い子は寝る時間」の9時を過ぎた頃からエンジンがかかり、「ねんどする」「おうまさんする」「おうちおうちする」「えほんよむ」となる。

10時半を過ぎると、無理矢理布団に寝かしつけ、子守話を聞かせると、親のほうはうとうとしてくるのに、たまはますます目が冴えて起き上がり、また遊び始めてしまう。ようやく寝かしつけに成功したときには、疲れて一緒に寝入ってしまい、締切前なのに10時間睡眠を取り、翌朝になって、「しまった! 昨夜のうちに仕上げるはずが……」と青ざめる始末。

寝かしつけに効きそうなことは、いろいろ試してみた。熱めのお風呂に長めに入ったり(たまは子どものくせに熱い湯に強く、親が先にゆでだこになる)、人形を寝かしつける遊びをさせたり(布団に誘導するには効果的)。古典的な「ひつじが1匹、ひつじが2匹……」もやってみた。数えるだけだと芸がないと思い、「ひつじが1匹、ぽーんととんだ。ひつじが2匹、くるりととんだ。ひつじが3匹、ころんでとんだ……」と変化をつけ、途中で「そろそろ寝たかな」と中断して顔をのぞきこんだところ、「ひつじ、どうなったの?」と目をぱっちり見開いて聞かれた。どうやらいつもの子守話のひとつだと思っていたらしい。

百匹のひつじの百種類のジャンプを考えてみよう、という頭の片隅にあった計画が急浮上したのは昨日。目の前にやらなきゃいけないこと(昔は試験勉強、今は締切前の原稿書き)があるのに、すぐに取りかかる気分になれず、普段しないこと(昔はジグソーパズルの箱を引っ張り出してきた)をしたくなる。それで、魔が差したように、「ひつじが百匹」のことを思い出したのだった。

せっかくだから、数え歌っぽく、それぞれの数字にちなんだ理由や描写でジャンプさせようと考え、やりだしてみると、気分転換(あるいは現実逃避)のつもりが、一日がかりになってしまい、日をまたいで今日になっても「42匹目のひつじ、夜逃げだと、子どもに聞かせるにはまずいか」などと唸り続け、新聞に目を通すと、「二階建て」「三角屋根」「二重飛び」などの数字が入った単語が目に飛び込み、そうなると、辞書を引きたくなり、またしても一日費やしてしまった。

もっといいものがあれば差し替えたいものもあるものの何とか百種類のジャンプがそろい、完成披露することに。子守唄っぽいメロディもつけて、「いちばんめのひつじは いちばんぼ〜しみつけて と〜んだ〜」(詩では「ひつじ」で止めたけえど、歌うと「ひつじは」となった)と10匹目まで歌ってみると、「おもしろい」とつかみはいい感じ。うれしくなって、ひつじを飛ばし続けると、「13びきめのひつじは」のところで突如、「あなた!」とたま。以後、「14ひきめのひつじは」「あなた!」「15ひきめのひつじは」「あなた!」……。わたしが四苦八苦して考えた歌詞は、「あなた!」の一言で片付けられてしまった。絶妙なタイミングで「あなた!」が決まるのが快感なのか、たまは身をよじって大受けしながら、「ママ このうた おもしろいね。どこで おぼえたの?」。ガックリ。ママは寝込みます。

子守話48 ひつじが百匹

1ぴきめのひつじ いちばんぼしみつけて とんだ
2ひきめのひつじ にかいのまどから とんだ
3びきめのひつじ さんかくやねのうえから とんだ 
4ひきめのひつじ よんほんあしふんばって とんだ
5ひきめのひつじ ごひきごぼうぬきで とんだ
6ぴきめのひつじ ロケットみたいに とんだ
7ひきめのひつじ ななほしてんとうみつけて とんだ
8ぴきめのひつじ はちまきしめて とんだ
9ひきめのひつじ きゅうかんちょうおいかけて とんだ 
10ぴきめのひつじ じゅうじのほうがくに とんだ 

11ぴきめのひつじ じゅういさんこわくて とんだ
12ひきめのひつじ じゅうにがつのクリスマスに とんだ
13びきめのひつじ いちみとうがらしからくて とんだ
14ひきめのひつじ いしころですべって とんだ
15ひきめのひつじ じゅうごやおつきさんみて とんだ
16ぴきめのひつじ いろをぬられて とんだ
17ひきめのひつじ いないないばあして とんだ
18ぴきめのひつじ いちかばちかで とんだ
19ひきめのひつじ ジュークボックスでうたって とんだ
20ぴきめのひつじ にじゅうとびしながら とんだ

21ぴきめのひつじ にほんいちたかく とんだ
22ひきめのひつじ ニンニンにんぽうつかって とんだ
23びきめのひつじ ににんさんきゃくで とんだ
24ひきめのひつじ にしのそらまで とんだ
25ひきめのひつじ にごったかわこえて とんだ
26ぴきめのひつじ ふろがつめたくて とんだ
27ひきめのひつじ ふなつきばのうえ とんだ 
28ぴきめのひつじ にわとりおいかけて とんだ
29ひきめのひつじ にくやさんこわくて とんだ
30ぴきめのひつじ さんじゅうそうひきながら とんだ

31ぴきめのひつじ サイコロなげて とんだ
32ひきめのひつじ サニーレタスばたけを とんだ
33びきめのひつじ みみかじられて とんだ
34ひきめのひつじ さんじゅうしきどりで とんだ
35ひきめのひつじ サンゴしょうまで とんだ
36ぴきめのひつじ さむくてこごえて とんだ
37ひきめのひつじ みなみかぜにのって とんだ
38ぴきめのひつじ サンバをおどって とんだ
39ひきめのひつじ さくらさくはるに とんだ 
40ぴきめのひつじ しじゅうからおいかけて とんだ
  
41ぴきめのひつじ よいしょこらしょと とんだ
42ひきめのひつじ しにものぐるいで とんだ
43びきめのひつじ よみちがこわくて とんだ
44ひきめのひつじ ししまいかぶって とんだ
45ひきめのひつじ よこむきになって とんだ
46ぴきめのひつじ しろいおしろのうえ とんだ 
47ひきめのひつじ よなかにこっそり とんだ
48ぴきめのひつじ よわむしのくせに とんだ
49ひきめのひつじ しくはっくして とんだ 
50ぴきめのひつじ ごじゅうのとうまで とんだ

51ぴきめのひつじ こいのぼりにこいして とんだ 
52ひきめのひつじ ごじゆうにといわれて とんだ
53びきめのひつじ ごじゅうさんつぎまわって とんだ
54ひきめのひつじ ゴシゴシあらわれて とんだ
55ひきめのひつじ ごうごうあらしのなか とんだ
56ぴきめのひつじ ゴロゴロかみなりなって とんだ
57ひきめのひつじ こなゆきまうなか とんだ 
58ぴきめのひつじ ごはんのゆめみて とんだ
59ひきめのひつじ ごくごくふつうに とんだ
60ぴきめのひつじ むれからはなれて とんだ

61ぴきめのひつじ ろくちょうめのいちばまで とんだ 
62ひきめのひつじ ろくにみないで とんだ 
63びきめのひつじ ムササビみたいに とんだ
64ひきめのひつじ むしばがいたくて とんだ
65ひきめのひつじ ろっこつケガして とんだ
66ぴきめのひつじ ろくろっくびにびっくりして とんだ
67ひきめのひつじ むなさわぎがして とんだ
68ぴきめのひつじ ロバとかけっこして とんだ
69ひきめのひつじ ロックのリズムで とんだ
70ぴきめのひつじ なわばしごつかって とんだ

71ぴきめのひつじ なないろのにじのうえ とんだ
72ひきめのひつじ なにくわぬかおして とんだ
73びきめのひつじ なさけないかっこうで とんだ
74ひきめのひつじ ななしのかかしと とんだ 
75ひきめのひつじ しちごさんうれしくて とんだ
76ぴきめのひつじ なむあみだぶつとなえて とんだ
77ひきめのひつじ なぞなぞのこたえがわかって とんだ
78ぴきめのひつじ なっぱはっぱさがして とんだ  
79ひきめのひつじ ななくさたべながら とんだ  
80ぴきめのひつじ ハレーすいせいみたいに とんだ 

81ぴきめのひつじ はいしゃさんこわくて とんだ
82ひきめのひつじ ハチにさされて とんだ
83びきめのひつじ はみがきがイヤで とんだ 
84ひきめのひつじ はしのうえはしって とんだ 
85ひきめのひつじ やこうれっしゃおいかけて とんだ
86ぴきめのひつじ ハローとあいさつしながら とんだ 
87ひきめのひつじ バナナのかわですべって とんだ
88ぴきめのひつじ はちじゅうはちやに とんだ 
89ひきめのひつじ ハックションとくしゃみして とんだ
90ぴきめのひつじ くれないのそらを とんだ

91ぴきめのひつじ くいにくいついて とんだ
92ひきめのひつじ きゅうにあわてて とんだ
93びきめのひつじ くさいおならして とんだ
94ひきめのひつじ きゅうしょくおいしくて とんだ 
95ひきめのひつじ きゅうこうれっしゃおいぬいて とんだ 
96ぴきめのひつじ くろひつじにあこがれて とんだ 
97ひきめのひつじ きゅうなさかみちで とんだ
98ぴきめのひつじ くやしさバネにして とんだ
99ひきめのひつじ きゅうきゅうしゃおいかけて とんだ
100ぴきめのひつじ ひゃくめんそうしながら とんだ

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