昨日、夕食の支度をしていたときのこと。待たせるとおなかが持たないと思い、「たま、これ食べててね」とごはんと豆腐を混ぜたものを先に与えた。ぎこちないながらもスプーンを操れるようになったので、たまがごはんと格闘している間におかずを作ろうという魂胆。テーブルに背を向けて包丁をトントンやっていると、たまはおとなしく食事をしてくれている。おとなしく……おとなしすぎやしないか? 不吉な予感に振り返った瞬間、目に飛び込んだ光景に唖然となった。ごはんと豆腐を小さな手でねちょねちょとこねたものを、ズボンを履いた太ももにこすりつけているのである。どういうきっかけではじめたのかわからないが、皿の中身は残り少なくなっていて、ピンクのズボンはセメントを塗りたくったように白くなり、顔や髪にも白いものがへばりつき、床には鳩の糞のごとく白い残骸が点々と落ちていた。
これが「食べ物で遊ぶ」ってやつだろうか。それとも、何か不満でもあるのだろうか。延長保育でいつもより一時間長く保育園に預けたので、淋しかったとか? ごはんと豆腐に混ぜたあのちりめんじゃこ、小海老入りで高かったのに……などといろいろ考えをめぐらせつつ、あまりのことに、しかることも忘れて、しばらく呆然と見てしまった。たまはすさまじい集中力で太ももをこすり、わたしが見ていることにも気づかない。
ようやく顔を上げて目が合ったので、「たま、ダメでしょう。食べ物をおもちゃにしたら。たまが食べるために用意したんだよ。ごめんなさいしなさい」と言うと、「メンメン」と人を食ったような「ごめんなさい」が返ってきた。片付けようにもどこから手をつけていいかわからない有様で、床に這いつくばって白い点々を回収しながら、もうこりごりと思ったのに、たまは今朝再びごはんと豆腐が食卓に上ったのを見て、「昨日あそんだやつ!」とでも訴えるように、うれしそうに太ももをこする仕草をして見せた。まったく反省してない! 「魔の2歳児」まで、あと2か月。
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