関西空港から東京へ帰る前に、高校時代の友人テルちゃんの家を訪ねる。わたしが留学して一年留年した後の学年の同級生で、同じクラスになったことはなかったけれど、体操部で一緒だった。『アテンションプリーズ スペシャル』放送の案内をメールしたとき、「今度大阪帰ってくるとき教えてね」と返信があり、「じゃあ6月に帰るから、そのときに会おう」となったのだった。体育祭の応援団で意気投合したユミちゃんにも声をかけ、5年前の高校卒業15周年の学年同窓会ぶりの再会となった。
テルちゃん、ユミちゃん、わたしを結びつけたのは、「おいしいもの好き」という共通点。応援団関係で仲良くなった食いしんぼの男の子四人を合わせた男女七人で、「グルメの会」というそのものずばりなネーミングの食べ歩き仲間を結成して、地元堺やちょっと足を伸ばしてミナミ(難波)のおいしいものを食べ歩いた。男の子も含めて全員が1リットルパフェを平らげられるほどの甘いもの好きでもあった。和菓子処の『かん袋』でしか食べられない「くるみ餅」のかき氷を食べに自転車を走らせたり、今はなくなってしまったレストラン『菊一堂』のコース料理を学校帰りに制服姿で食べたり、一年の半分ほどをイタリア旅行に費やす夫妻の手づくりピザの店を訪ねたり、『自由軒』のカレーの後に法善寺横町の『夫婦善哉』という「織田作之助」コースを楽しんだり。お小遣いの少ない高校生にしては、贅沢なことをしていた。7人のうち誰が抜けたのだったか、2チームに分かれて高校生クイズの予選に挑戦して、第一問で敗れたのもいい思い出。夏の暑い日に文化祭の演劇で使った衣装で仮装し、わたしは紫のロングドレスを着ていた。ユミちゃんとは3年のときに同じクラスになったのだけど、クラスでの出来事よりも、どこで何を食べたということばかり思い出してしまう。食べ物の記憶って、強い。
5年前の同窓会の前に3人が集まったのはユミちゃんの結婚式で、わたしは『ぱこだて人』の脚本の授賞式を終えて函館の映画祭から向かった。99年のことだから、9年前になる。同窓会は人がいっぱいだったし、結婚式は主役を独り占めできなかったし、3人でじっくりと話すのは、思い出せないぐらい久しぶりのことなのだった。5年会わないうちに、テルちゃんは二児の母になり、ユミちゃんとわたしも一児の母になり、第二世代の4人の娘が加わっての3人娘ミニ同窓会となった。3人集まると気分は高校生の頃に戻ってしまうのだけど、目の前には子どもたちがいて、なんだか不思議。思い出話と子育て話が混じり合い、ブランクはあっという間に埋まって、先週も会ってたような気持ちになる。
3人ともあいかわらずおいしいものが好きで、甘いものも大好きで、食べるとますますおしゃべりになるところも変わってない。テルちゃんのいとこがやっているという近所のパン屋さんのフィナンシェを夢中で頬張り、「このお店、今度連れて行って!」と話す。昨年末に建てたばかりという自慢の新居をくまなく案内してもらい、北欧インテリアが好きという共通点も見つかって、「わたしたちって、やっぱり気が合うんだ!」と再発見。離れていても、会えばあっという間にあの頃に戻れる同級生がいる幸せを味わい、娘たちもそんな友だちに恵まれるといいな、娘たち同士もいい友だちになれるといいなと思った。
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