晴海トリトンの中にある豆腐料理の『梅の花』にてマタニティビクスの同期ママ三人とランチ。みなさん子ども(全員娘!)を連れて来るというので、わたしも娘のたまを午前保育にして連れ出す。一歳を過ぎて動き回る子連れでの食事となると、畳の個室が必須。新規開拓しようと思いつつ、おなじみの梅の花になった。丸の内オアゾ内にある『えん』が良いと友人からすすめられたのだけど、こちらは大人5名からということで、今回は断念。
通されたのは大人十人ほどが悠々と座れる広々とした個室で、座席は掘りごたつ式。大きな窓からは水上バスが行きかう川が見下ろせる。川べりの並木が桜だとしたら、数週間後は花見も楽しめる。四人の娘たちも窓際に並んで珍しそうに外を眺めてごきげん。たまがおとなしくしていると思ったら、盆栽の苔をつかんで、ニマリ。あわてて引き離した。梅の花のいいところは、子どもが食べられるものがたくさんあること。豆腐サラダ、豆腐しゅうまい、豆腐とじゃがいものしんじょうなどを夢中で食べてくれた。娘たちの口にはスプーンを、自分の口には箸を運びつつ、母たちは「そっちの子育てはどう?」話に花を咲かせる。おなかが大きい時代からの同志なので、中にいた子が出てきて、しかもこんなに大きくなって天ぷらまで食べてる、一緒に遊んでる、と不思議な気持ちになる。
今日のランチ会はわたしが企画。三人のママ友に脚本のネタでお世話になったので、お礼に食事をと声をかけた。わたしがよく知らない業界の話が舞い込んで、さあ何から手をつけようかというとき、ビクス仲間の彼女たちの職業を思い出した。「教えて!」とメールを送ったところ、メールやら電話やらで自分の体験談や見聞きした話を教えてくれた。そのいくつかは脚本に採用され、業界の空気やノリをナマの声から感じ取ることもできた。いちばん連絡を取り合ったDさんとは、プロデューサーとの一回目の打ち合わせの前に会って取材させてもらったのだが、おかげで「手ぶら」で打ち合わせの席に着かずに済んだ。Dさんには何度も電話し、夕食前や夜遅くにつかまえては「こういうときはどう言うの? どうやるの?」と根掘り葉掘り聞き、電話口でセリフの実演までしてもらった。
そのDさんに事前のメールで「おごりとか、なしね」と遠慮されたので、何と言ってお礼を受け取ってもらおうかと考えた。幼い子どもを持つ母親にとって、「自由になる時間」は値千金、プライスレス。その時間を惜しみなく差し出してくれたことお礼はランチじゃ利かないぐらい。パソコンに向かう時間を確保するのもひと苦労なのは、たまを保育園に預ける前の半年間で痛感した。自分のために使うだけでも足りないその貴重な時間をめいっぱい使って、彼女たちは心のこもった長いメールを綴ってくれた。やることが山積みなのに、子どもを膝に抱いてあやしながら長電話につきあってくれた。メールの最後に添えられた励ましの言葉や電話のあたたかい声に、どれだけ力づけられたか、助けられたか。出産というゴールに向けて励ましあいながら踊った仲間ならではの力強いエールだった。決定稿(「けっていこう」で変換すると「蹴って以降」と出た。実際には、原稿を蹴られて、蹴られて、決定稿に至る)までの長い道のりは、まさに生みの苦しみ。その陣痛を乗り越える力をもらった。「ゴールまで走り切れたのは、みんなのおかげ。だから、一緒に分かち合いたいの!」……という感謝の言葉を用意していたのだけれど、気持ちよく御馳走させてもらえたので、演説の必要はなくなり、あらたまってお礼を言う機会を逸してしまった。
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