昨日になっても娘のたまの熱は下がらず、家で見ていたら、ついにわたしも風邪をひいた。どうなっているのだ加湿器ベンタ君。過失器と呼びますぞと恨みごとも言いたくなる。夕方から打ち合わせが入ったので、たまをダンナの実家に預けて打ち合わせ先へ。
ぐずぐずがずるずるになった時点でプロデューサー氏が「お使いください」とテーブルにティッシュの箱を置いた。テーブルの上に丸めたティッシュが積まれていき、見苦しいのでかばんの中に放り込んだりつつ、鼻水はどんどんひどくなり、ティッシュの箱が空になった頃、「ハックショーイ」とくしゃみが出始めた。一緒にいる人たちも落ち着かないし、うつされてはかなわないという警戒もこちらに伝わる。そもそも大事なときに健康管理ができていないのは情けない。「脚本家でいちばん大事なことは倒れないこと」と言われているぐらいなのに。帰りのタクシーではくしゃみと鼻水の一人演奏会となった。
今朝起きると、鼻はますます激流化。昨日はなかった熱も出てきてしまった。昨夜の打ち合わせを受けた直しをこの週末にやることになっていて、寝込んでいる場合ではない。医者に駆け込み、「とにかく鼻を何とかして! でも眠くならないやつ!」と訴えると、漢方の葛根蕩と、それでも治まらなかったときのために抗アレルギー剤を少なめにして、で迎え撃つことになった。薬一覧の辞書みたいなものがあり、それを引きながら「これ、やってみましょうか」などと相談して決める。商談みたいだ。
薬局で薬と一緒に出されるデータを読んだら、抗アレルギー剤の説明に「即効性がある薬ではなく、2〜4週間で効果が現れてくる」とある。そんなにかかるんだったら飲むのやめようかなと一瞬踏みとどまったが、いくらなんでもそんなにかかるのはおかしい、「2〜4時間」の間違いではないかと思い、切羽詰まっているこtもあって飲んでみたら、2時間もしないうちに効いた。葛根蕩との合わせ技ではあったけれど。
以前「築五分 徒歩三年」と時間の単位が大胆に入れ替わっている不動産広告に「陸の孤島のテントかよ!」と突っ込んで大笑いしたことがあったけれど、命に関わる薬で24×7倍も間違って大丈夫なんだろうか。鼻水が治まってから、老婆心ながら薬局に引き返し、「これ、2〜4時間の間違いではないでしょうか」と聞いてみた。「あらまあ」と驚かれるかと思いきや、「これは薬会社からデータをコンピュータで引っ張っているもの」であり(だから正しい)、この薬は花粉症などにも使われるので、効果がすぐに出なくても続けてくださいねという意味で「2〜4週間かかります」という表示になっている。実際「花粉症が出る1、2か月前から始める方も多い」のだが、「風邪で服用される方もいるし、すべての患者さんにあてはまるとは限らない」のだと理路整然と説明された。「よろしかったでしょうか」と聞かれれば、そうでしたかと引き下がるしかない。立ち去る背中に、「お続けください」と落ちをつけるかのように声がかかった。
でも、やっぱり釈然としない。「2〜4週間で効果が現れてくる」と書かれたら、せっかく処方されたけど、今効かないんじゃ意味無いからやめとこうとなる人は多いのではなかろうか。「2〜4週間で効果が現れてくる場合もあります」だったら、場合によっては効かないかもいう解釈の幅は生まれるのだけど。
2007年01月19日(金) 夕刊フジ「ギョーカイ有名高校人脈」
2006年01月19日(木) ミヒャエル・ゾーヴァ(Michael Sowa)の世界