日比谷シャンテの打ち合わせを終えて、そういや友人からすすめられた『白バラの祈り』をシャンテシネでやってたなと思い出し、観る。ヒトラー政権に立ち向かった女子学生ゾフィー・ショルがビラをばらまいた罪で投獄され、処刑されるまでの5日間を描いた作品。『アンネの日記』に多大な影響を受けたわたしにとっては、興味深いテーマ。
ゾフィーを演じるユリア・イェンチの凛とした佇まいが作品の緊張感となって、張り詰めた空気が客席を包む中、観客は背筋を伸ばし、固唾を呑んでゾフィーと取調官のやりとりを見守る。獄中での時間を経るごとにゾフィーに悟りのような落ち着きが生まれ、瞳や言葉に力が宿ってくる。逃れられない死への恐怖から叫ぶ一瞬を除いては、最後まで毅然とした態度を崩さない。誰もが自分を曲げて自分を守ることを迫られたあの時代に信念を貫いた生き方、その潔い美しさには気高さすら漂う。
1943年2月18日に投獄されたゾフィーは22日午後5時に処刑された。63年後の22日午後5時にその人生を描いた映画を観ていた偶然。奇しくも2月22日は母・捷子の誕生日。この人も信念と行動の人で、わたしが小学生の頃、堺市の小学校にプールを作る運動をやっていて、書名や陳情に走り回っていた。そんなことを思い出し、お誕生日おめでとうの電話をかける。
2002年02月22日(金) 生みっぱなしじゃなくて