NHKオーディオドラマのパーティーで知り合った大先輩の脚本家・吉村ゆうさんが作・演出の『WEL-COME to パラダイス』(劇団たいしゅう小説家第9回公演)を観る。吉村さんの舞台を観るのは3回目だけど、1本目は菊池寛の世界、2本目は熱い男の世界、3本目は歌あり踊りありのワンシチュエーションコメディ。見事にどれもかぶっていない。ドラえもんのポケット並みの引き出しをお持ちなのかも。
今回は日本の片田舎にある「舞網(マイアミ)」という名の海沿いの町が舞台。交通事故の加害者となった野球選手の故郷であるその町で、被害者である伝説のロックスターが療養し、彼のファンであり彼の歌をもう一度聴きたい野球選手の幼なじみたちがリハビリを手伝う。そこに昔の恋や保険金疑惑が絡み、話が二転三転……。次が読めない展開の面白さと絶妙な会話は、さすが。合間に入る生演奏や歌もなかなか聴かせてくれて(音楽・歌は石川よしひろさん)、肩の力を抜いて楽しめるエンターテイメントになっていた。
| WEL-COME to パラダイス 2006年2月9日(木) 〜 2月19日(日) 東京芸術劇場 小ホール2
【スタッフ】 作・演出=吉村ゆう 美術=土屋茂昭 照明=黒尾芳昭 音響=川口博 舞台監督=深見信生 舞台監督=板垣周作 スタイリスト=片柳利依子 メイク=高森優子 音楽=石川よしひろ プロデューサー=高橋正行 ほか 【キャスト】 モト冬樹/菊池麻衣子/岡田達也(演劇集団キャラメルボックス)/萩野崇/平野勲人(TEAM 発砲・B・ZIN)/首藤健祐(東京ハートブレイカーズ)/芽映はるか/石川よしひろ/岡田薫/鈴木輝美/大木初枝(演劇集団キャラメルボックス)/吉田聡/上南友美/中野幹雄/林部レオナ
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この日いちばんの衝撃だったのは、前座に突如現れた少年山賊団というジャグバンド。ジャグバンドとは20世紀初頭のアメリカ南部でお金のない黒人たちが手近にあるものを楽器にして演奏を楽しんだスタイルのことらしい。棒に糸(釣り糸って言ってたっけ?)を張った弦楽器(これがまたいい音)、洗濯板に軽量カップや自転車のベルを貼り付け、スプーンで叩く打楽器などを楽しそうに奏でる三人組に目が釘付け。選曲がまたわたし好みで、『ドナドナ』『グリーン・グリーン』(この歌を聴くと、なぜかとても泣きたくなる)、牛と戦うオレオレオレ!の歌(歌詞で検索したら『トレロ・カモミロ』というタイトルらしい)などなど、胸の奥の懐かし袋をくすぐられるようなレパートリー。上演後はロビーで『パタパタママ』を披露してた。みんなの歌をテープに録って聴いていたわたしには、ほんとにど真ん中。『コンピュータおばあちゃん』も持ち歌なんだろか。話しかける勇気がなかったけど、とても素敵な三人組でした。
◆2005年4月20日 東京ハートブレイカーズ公演『黒くやれ』
◆2003年11月23日 通帳で伝える愛 『まばたき』『父帰る2003』
2005年02月16日(水) 不思議なピンクの水、「ナーガ」水。
2002年02月16日(土) パコダテ人@スガイシネプレックス