2005年11月04日(金)  名久井直子さんの本

会社の同僚で席も誕生日もお隣りだった名久井直子さんは、会社にいた頃から売れっ子装丁家で、わたしより半年早く会社を辞めてからは、さらに仕事の幅を広げ、装丁だけではなく本の中身も手がけるようになった。相次いで出した二冊が、取り寄せた本屋さんに届いた。どちらも名久井らしさが出ていて、センスよし、たたずまいよし、ずっと眺めていたい本。紙にこだわる彼女らしく、手触りもよし。インターネットで本が読める時代になっても、やはり本の重みや厚みを感じ、ページを指先でめくる楽しさは紙ならでは。

本上まなみさんの帯コメントがついた『いぬはなく』は、詩人の斉藤倫さんの言葉に名久井が絵をつけている。タイトルを見て、犬の話なのかなと想像していたら、犬だけじゃなくて、いろんな動物や生き物たちが鳴く。その鳴き声が「うん、確かにそう聞こえる」という英語で表現されているという目のつけどころがとてもチャーミング。わたしのいちばんのお気に入りは、「Pick up! Pick up!(拾って拾って)」とまたたく星屑。いつもは見落とし(聞き逃し)ている世の中のささやきに耳を傾けたくなる、まるごとかわいい一冊。

東京 和のおやつどき』は、春日一枝さんとの共著。和菓子の世界をとても親しみやすく紹介していて、目で楽しむうちにおなかが空いてしまう困った本。写真がどれも本当においしそうで、添えられている言葉も気が利いていて、和菓子職人さんたちが読んだら誇らしくなりそう。和菓子工房見学のレポートも、秘密基地探検のようなわくわく感が味わえて、この紹介文を書いている間にも頭の中が和菓子に占領されていく、ほんとにほんとに困った本。

2002年11月04日(月)  ヤニーズ4回目『コシバイ3つ』

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