■浜離宮朝日ホールにて『オペラに恋して』を鑑賞。『愛ラブ3テノール』のサブタイトルがついていて、案内役も務めるメゾ・ソプラノの郡愛子と若手テノールの藤川泰彰、経種廉彦(いだねやすひこ)、小貫岩夫が競演。テノールの3人を「オペラ界のアラン・ドロン(経種)、松平健(小貫)、ヨン様(藤川)」と紹介して笑いを取り、「若い男性に囲まれて、とっても幸せ。今夜は化粧も厚めです」とおどける郡さんの司会は相当面白い。3人に直撃インタビューするコーナーでは、「3大テノール」と持ち上げる郡さんに「3人テノール」と遠慮し、かと思うと、「テノールはモテます」と大きく出るテノールの3人の話も楽しかった。大柄なピアノの河原忠之さんも、「私がいちばん声楽家っぽいですね」「私がピアノだと歌い手が細く見えます」とお茶目。曲目は、オペラにはとんとなじみのないわたしが聴いても「ああ、聴いたことある」と思えるメジャーなものが中心で、とっつきやすい。イタリア語やフランス語の歌詞の内容がわかればもっと入り込めるのにとも思うが、歌詞がわからないのに声の音色だけで心を震わせてしまうのはすごい。メゾ・ソプラノやテノールの高音を浴びていると、しびれるようないい気持ちになる。
第1部 テノールの魅力 フェデリーコの嘆き チレア「アルルの女」より 春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか マスネ「ウェルテル」より 誰も寝てはならぬ プッチーニ「トゥーランドット」より 苦しみの快楽 チレア「アドリアーナ・ルクヴルール」より 星は光りぬ プッチーニ「トスカ」より 昇れ太陽よ グノー「ロメオとジュリエット」より 花の歌 ビゼー「カルメン」より ジプシー・ソング ビゼー「カルメン」より 第2部 オペレッタのように ヴィリアの歌 レハール「メリー・ウィドウ」より ウィーンわが夢の街 ジーツィンスキー 君はわが心のすべて レハール「微笑の国」より マッティナータ レオンカヴァッロ 恋は永遠に バーンスタイン「ウエスト・サイド・ストーリー」より グラナダ ララ メリー・ウィドウ・ワルツ レハール「メリー・ウィドウ」より |
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■1部と2部の休憩時間は、またの名を「ワインタイム」。協賛企業各社より飲み物とお菓子のサービス。デメルさま、日本製粉さま、ネスレさま、ペルノ・リカールさま、ごちそうさま。お酒も入って眠気に襲われたら大変と思いきや、第2部は日本語の歌詞の歌もあり、アンコールの『オー・ソレ・ミオ』まで身を乗り出して聞き入ってしまった。なんだ、オペラってこんな風に肩の力を抜いて楽しめるものだったのね。一晩でオペラがぐぐっと身近になった感じ。■郡愛子さんとは先日、あるパーティーで同席した。何人かのテーブルで話しているときに、わたしのほうを見て、「そちらのかわいい方はどなた?」と声をかけてくださったので、いっぺんに好きになってしまった。お世辞を言われたからではなく、そのような言葉をさらっと使える人柄に惚れた。そのときも他のゲストにせがまれて歌を披露してくれたが、日本を代表するメゾ・ソプラノ(「オペラ界のゴッドマザー」の呼び声も)だったとは存じ上げなかった。そんなオペラど素人のわたしを今夜のコンサートに誘ってくれたのが、同じパーティーで知り合ったナルミヤインターナショナルの成宮俊雄会長。「エンジェルブルーのジーンズはいてますよー」と話しかけたら、陽気でノリのいいおじさまで、フランス映画が好きでフランス語を勉強していて、ナルミヤのお姉さんブランドにJusqu'a(ジュスカ)と名づけたとか、『ジェニファ』の三枝監督から話を聞いていた六本木男声合唱団にいて、『鉄人28号』の主題歌を歌って初日の舞台挨拶で歌ったとか、話がどんどんつながって意気投合。興味を持ったものにはどんどん首を突っ込む方と見えて、オペラ鑑賞も数ある趣味のひとつのよう。パーティーが取り持つ縁ということで、似た者同士の匂いを感じたわたしに声をかけてくださった様子。ありがたく、ぜいたくな時間を楽しませてもらった。
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