2002年05月25日(土)  イージーオーダー

■ダンナの紳士服のイージーオーダーについていく。わたしのカラフルな安物服10着分の値段で、ダンナは地味なスーツを一着買う。しかもボタンの数やシルエットはデータ保存されていて、毎回変わるのは生地だけだ。似たようなモノトーンの中からひとつを選ぶ。さて、生地を選ぶと「データを出力しますので、名前と住所と郵便番号を書いてください」と申込書を差し出される。ダンナが記入して待つこと三分。前回オーダーしたときのデータが取り出されてきた。それを店員の男性がマークシートに書き写していく……と、ダンナが一言。「これ、僕じゃないですよ」。見ると、名字は同じだが、住所は茨城県。アカの他人のデータだった。これじゃあ何のために郵便番号まで書いたのか、わからない。■間違って出された別人さんのデータは、そのままテーブルに放置されていた。本来なら、その場ですぐ畳むかどけるかして、客の目から遠ざけるべきだったと思う。逆のことを自分がされたら気味が悪い。住所、電話番号、前回買ったスーツの値段、はと胸かいかり肩かといったことまで記録されているのだから。目の前の客だけが客ではないのに、高級スーツを買った客も、紙切れになると杜撰に扱われるのは悲しい。百貨店のサービスもこんなものかと失望しながら、「これがドラマの1シーンだったらどんな展開になるか」を想像した。間違いに気づかずに別人サイズのスーツが仕上がってしまったら、コメディーになる。データが妻のかつての恋人のものだとしたら、妻はすかさず電話番号を覚え、何年かぶりに彼に電話をし、恋愛ドラマが生まれる。あるいは、憎んでも憎みきれない男の名前を見つけ、復讐の鬼となるサスペンスドラマもありうる。それとも、イージーオーダーはデータ管理もイージーだったという告発劇、いやドキュメンタリーがいいだろうか。

1979年05月25日(金)  4年2組日記 おかあさんが帰ってこれるか

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