■会社をやめるとき、昔(といってもほんの10年ぐらい前だけど)は社内の各部署をぐるぐる回ったものだけど、最近はメール送信一回で全社員にあいさつできるようになった。この便利さのおかげで、一緒に仕事をした人から顔も見ずに「さよなら」を言われて淋しい思いをすることが増えた反面、一度も仕事をしたことのない人や、面識すらない人から「ありがとう」を言われる機会も増えた。1対多数のメールは、良くも悪くも人と人の距離感を平等にする。お別れのメールには名文が多い。在籍中の思い出(輝かしいことも失敗談も)を綴る人、忘れられない上司や得意先の名前を挙げる人、これから打ち込む趣味のことを語る人、今だから言える本音や秘密が聞けたりして、なかなか興味深い。「お世話になりましたメール」ではじめて存在を知った人がすごく自分と合いそうな人だと気づいて、「この人と仕事できたら面白かっただろうなあ」と思うこともある。今日は顔だけ知っている中国系の社員の女性から「会社を卒業します」とメールが回ってきた。3年前に入社したときはほとんど日本語が出来なかったとのこと。この会社で鍛えられて成長したことを振り返り、「優しくいろいろなことを教えてくれまして、言葉にならない感謝一杯です!」と記してあった。「言葉にならない」は、中国語では「尽在不言中(Everything is told without telling!) 」と言うのだそう。言いたいことは、何も言わなくても伝わるよね、というニュアンスだろうか。かわいい言葉。
2003年01月16日(木) ど忘れの言い訳