■一年でいちばん「自分の手で文字を書く」のは、間違いなく大晦日。仕事ではワープロ、パソコンだし、日記までキーボードたたいてつける生活。まとまってペンを走らせる機会は、年賀状ぐらいになってしまった。毎年、「今年こそは住所をラベル印刷にしよう」と思いつつ、今年も間に合わなかった。それどころか、会社のパソコンからフロッピーに落とした住所録が文字化けしていて、まったく使えない。プリントアウトしてくるのも忘れてしまった。部署の住所録係を買って出た本人が住所録を使えないとは……何をやっているんだか。まあでも、一年前の年賀状を見ながらあて名書きをし、メッセージを書くというのもなかなか良いもので、一年がかりの息の長い文通をしているような気持ちになる。苦労してあて名を書いたのだから、メッセージはせめて住所より長く、などと思ってぐいぐい書いているとペンだこがぷくっと膨らんでしまった。あて名も文章も全部印刷にしちゃえばラクだろうなあという誘惑にかられるのだけど、なかなかそうできない。普段はメールの人、年賀状だけでつながっている人だからこそ、郵便でしか伝えられないものを伝えたいと思うから。たとえ一言でも、手書きの文字の筆圧やクセは、わたしの意気込みや気持ちを語ってくれるし、体温のようなものも運んでくれる気がするから。年賀状を出す相手は年々増えて、今年は300枚を超えそう。来年こそはラベル印刷に頼るかもしれないけれど、あて名のその人に向けた言葉は、自分の手で書き添えたいと思う。
2002年12月31日(火) 大掃除に救世主あらわる
2001年12月31日(月) 祈り
2000年12月31日(日) 2000年12月のおきらくレシピ