2002年04月26日(金)  『アクアリウムの夜』番外編:停電ホラー

今書いているラジオドラマがホラー(稲生平太郎原作『アクアリウムの夜』の脚色)なので、何となく神経過敏になっていて、ちょっとした物音や気配にビクッとしている。昨夜11時過ぎ、家のダイニングでラジオを聴きながらワープロをカタカタ打っていると、何の前触れもなくワープロ画面が暗くなり、ラジオが黙り、明かりが消え、部屋は沈黙の闇に包まれた。普通なら「あ、停電!」と思うのだが、オカルトモードになっているわたしの反応は、「あ、来た!」。上の階の足音さえラップ音だと思い込む状態だから、無理もない。しばらく金縛り状態になった後、勇気を出して、窓側のカーテンを開けてみると、まわりの家々からも明かりが消えている。ここで「この辺り一帯が停電なんだ」と安心するところを、「デカイヤツが来た!」と思ってしまい、ますます怖くなる。

手さぐりで携帯電話を探し、ボタンを押すが画面のライトがつかない。「携帯までがヤラレるのだから、やはり停電ではない!」と確信するが、「キー操作無効」になっているだけだった。ダンナに電話するが、「ただいま出られません」。この非常時に、頼りにならないヤツだ。携帯の画面照明では足りず、PHSの画面も照らして、なんとか家の鍵を発見(いつも決まった場所に置かないのが悪い!)し、屋外脱出に成功すると、ドアというドアから住民たちが心配そうな顔をのぞかせていた。「停電しましたよね?」「してますよね?」と確認しながら階段で一階まで降りると(エレベーターも止まっている)、携帯で誰かに通報している女性がいた。警察官はすでに着いていたので、東電にかけていたのかもしれない。

近所のコンビニは、なぜか煌々と明かりがついていた。ここは免れたのか、自家発電なのか。懐中電灯と電池を買う。家に帰り、懐中電灯を灯すと、生活できる明るさになった。といっても薄暗闇で出来ることは限られている。ハーブに水をあげようとしたら、水道も止まっていた。モーターで汲み上げているからだとか。知らなかった。ひさびさにマニキュアを塗ってみるが、速乾性なので、すぐに乾いてヒマになる。掃除も洗濯もできない。洗濯物をたたんでいると、ダンナから電話がかかってきた。「停電で大騒ぎで退屈だ!」と不安や不満をぶちまけると、「僕の写真にチューでもしてなちゃい」と完全に酔っぱらっている。つくづく役立たず。風呂の残り湯で手を洗い、メイク落としシートで洗顔。風呂の湯沸かし器の制御装置が電動なので、お風呂にも入れない。結局、何もできないので寝ることにしたら、夜中にいきなり家中の電気がつき、飛び起きる。停電から約2時間経っていた。

<<<前の日記  次の日記>>>