■封書の便りを受け取ることは珍しくなったが、今日に限って三通も届いた。まず一通は函館ラ・サール高校新聞局(新聞部と呼ばないのが新鮮)の外山君から。函館の映画祭に行ったとき取材を受けたので「新聞が出来上がったら送ってね」と住所を渡しておいたのだ。御礼の手紙を添えて届けられたB4四枚分の分量の『函館ラ・サールニュース』。トップニュースは「卒業証書授与式」。二月十日とは早い。その下にセンター入試の記事。「本校の平均点は550・0(満点は800点)」とのこと。中面に「校内特集 宗教教育とは何か」「郊外特集 映画の街の灯」の二大特集。パコダテ人は函館港イルミナシオン映画祭ルポの中で「海外のコメディ映画のようなテンポのよい作品」と紹介され、「函館は、現代性がなくて時の重みがある。ファンタジーの雰囲気に合っている。函館でやらなかったら、違う話になっていた」とわたしの言葉が要約されている。函館を舞台にした映画はおよそ60本もあるらしく、「ロケ地としてこれほど恵まれた土地に住んでいる私たちであるが、普段はどれほど映画を見ているだろうか」と問題提起。手始めにパコダテ人をとまでは書いていない。他にも「他校訪問 函館遺愛女子高校」「はこだて探訪〜啄木に願いを〜」といったコラムに土地柄を感じる。昔せっせと学級新聞を書いたなあと懐かしい。■次の封書は、年末に『囲む会』を開いてくださった七十代トリオの一人、高田氏。和紙に墨でしたためた手紙と、新しい平和の形を提案する論文。総文字数は三千字を越えるだろう。戦争を体験した証人として、今の世界に言わずにはいられないことを抱えている高田氏は、今井雅子作品を「迷い人救出作戦的物語」と呼ぶ。■最初に封を開けたのは、札幌で会ったばかりの田森君から。山形の児童演劇脚本コンクール受賞作とこれからコンクールに応募するシナリオをどかんと送ってくる。送料700円。演劇脚本は「おねしょした布団をたたくと、なくした大事な物が出てくる」話。大人になるとき、過去に置いてきてしまうのは寝小便だけではないことに気づかせてくれる。