■筒井康隆の短編集『馬は土曜に蒼ざめる』を読み終える。この人の小説のすごいところは、何度読んでも初めて読んだ気になってしまうこと。おかげで同じところを何度も読み直してしまい、時間がかかった。初版が1976年で解説が小林信彦。その一節に「(わたしには)テレビの仕事がすべてなくなり、ジュヴナイル『オヨヨ城の冒険』などを書いていた寒い時期があった」とあり、衝撃を受けた。オヨヨ城シリーズは子どもの頃、大好きでボロボロになるまで読んだ。不条理なやりとりの連続で、笑い転げてページをめくったのだ。なのに作者は寒い思いをしていたとは、なんとも複雑な気持ち。■NHK-FM青春アドベンチャー『カレーライフ』を3週間聴き続けたせいでカレーが食べたくなり、寝かしておいた無印良品のスパイスセットで作る。最終回を逃したが、無事カレー屋は開店できたのだろうか。■今夜のFMシアターは、じんのひろあき氏脚本の『質屋』。なんと、じんのと名乗る脚本家が登場し、質屋を取材する過程がドラマになっている。函館の映画祭でお会いしたとき「ラジオドラマは180本ぐらい書いた」とおっしゃっていたが、じんのさんだからできる手法だなあ。