un capodoglio d'avorio
生まれ変わるなら「甲本ヒロト」か、もしくは「岸和田のだんじりの大工方」になりたいと公言してはばからないどかです、こんばんわ。
というわけで行ってきました、「日本一速い祭り」「日本一危ない祭り」、かなり有名な岸和田のだんじり祭りの宵宮。きっと、岸和田のヒトは「日本三大祭り」にこれが入らなくても一向構わないのだろうけれど、この祭りが一番速い、と言われなかったら食ってかかるんだろうな。そういう種類の心情が、この世の中には確かにあって、すばらしい。やーでも、マジすごかった。もう、泣きそう、おしっこちびる。うう。
岸和田のだんじりと言えば「やりまわし」。猛スピードで90度、角度を変えて曲がっていく見せ場のこと。どかは割と良い場所で見てたんだけど、マジでかっくいい。100メートル以上ある引き綱で、4トンあるだんじりに、すさまじい加速度を与えるのだ。
「やりまわし」の舞台となるT字路は、もう戒厳令下のようなピリピリムードで、機動隊の警官が出張っていて完全にスペースを確保している。そこにだんじり囃子が遠くから聞こえてきて、綱の先頭が見えて、ぞろぞろとその町のヒトたちが「戦闘服」に身を包んで走ってきて、そしてだんじりがあらわれる。
最初は、笛である。そして、号令。「牽け牽けー、牽けよおらーっ!!」次にかけ声、「ソーリャ、ソーリャ、ソーリャ」、すると、戒厳令下のこの空間と時間が、一気に軋む。想像を超えた加速度でだんじりが真っ直ぐ突っ込む。前テコ、後テコの操作手が命を懸けてくさびを打ち、ベクトルをギッと90度曲げてみせる。その時の迫力。しびれます。
なぜに、ここまで、アホなほど時間と体力とお金と気力をつぎこむのだろう。うーん、やっぱ、あれかな、バタイユっぽい「供犠」なんだろうな。そしてこの「供犠」の極致、この日本一の祭りの最高の華を担うのが、大工方。どか、生まれ変わったらこれになりたい。
大工方とは、だんじりの屋根にひとり乗り、両手にうちわを持って、だんじりの進行、やりまわしなどに指示を与えるコンダクター。これが、もうとにかくかっこいい。最高、やばい、まじ憧れる。全てを捨てても、やってみたいと思わせる。このうちわを振る身振りもかくいいのだけど、大工方の華が最高にスパークするのは、やりまわしに入った時だ。
大工方は、号令がかかる前に彼は屋根の上でカーブの内側にサッと身体を移す、そして号令、100メートルの綱を持つ全ての人間がグッと力を入れて時空が軋んで4トンが躍動し、テコの操作でそのベクトルが歪む刹那、彼はなんと、宙に舞うのだー!すでにかなりの加速度でがたがたに揺れているであろう、わざわざそんな状況で、内側から外側へ、ヒョイっと跳び上がり、スタっと屋根に着地、すぐにグッと腰を入れて遠心力に持ってかれないよう身体を支える。猛スピードで曲がってるだんじりの上、わざわざ考えられるもっとも危険な瞬間に跳ぶ必要性は普通に考えたらどこにも無い。事実、これで命を亡くしたヒトの噂もつとに聞く。
それでも、大工方は跳ぶのだ。こともなさげにヒョイっと。
先頭の綱を引く少年も、だんじりの前の綱を引く青年も、だんじりの後ろの綱を引く強者も、前テコ後テコを操作する勇者も、そして最高の華・大工方も、みんなみんなかっこいい。そりゃーこれを体験したら、祇園囃子なんてあんなタラタラやってんのは、かったるくて仕方ないだろうって思うなー。
それでも、跳ぶのだ。その瞬間に、何が見える?
(画像は後日、photoalbumにアップします)
|