un capodoglio d'avorio
というわけで石井サンつながりで、さかのぼってみる。 永瀬正敏、浅野忠信、岡田義徳、原田芳雄などなど、 イイオトコがたくさん出てる、監督長編第二作。
のっけのアニメーションがとにかくかっこいい。 主人公の七人を紹介していく(かのような)アニメなんだけど、 もう、すげーぶっとんでいてしびれる、パンクなの。 でもね、アニメが終わって本編が始まると、 ギャップがすごい。 このヒトタチ、とにかくかっこわるい。
このギャップというのが、テーマなんだと思うの。 あらゆるカットで、あらゆる展開で、あらゆる位相で、 とにかく石井監督は観客の予想をことごとく外して、 ゆる〜い笑いの波紋を観客席に落としてくる。 そしてその波紋の強さ大きさ波の間隔などは、 実はとても計算しつくされているということ。 そのゾッとするような冷徹な計算を、 観客の見えないところでやってくれるから、 安心してその波紋に乗ってサーフィンやってしまえる。
永瀬サンはヤクザの金を持ち出して逃げるハードボイルド。 かと思いきや、元カノに未練タラタラでだらしないし。 浅野サンはすっきりヒゲを剃って見目麗しいお顔。 なのに「覗き」が趣味のオタクくんでスカート覗いてるし。 原田サンはあいかわらず大人の男で渋い声、いいわあ。 って思ってたら、キャプテンバナナだし w そして岡田クン、演技派美少年クンは、 気持ち悪いナンチャッテ成金ストーカーだし。
二時間の映画を作ったら、普通外そうと思っても一発くらい、 うっかり的にあたってしまいそうなものを、 石井監督は、たんねんに、まごころをこめて、 きちんと的から外す w 最初は、どんどんオフセットな展開で笑ってた観客も、 最後の最後の「さいご」まで、かっちり外されたことで、 この映画の作り手の、冷静極まりない計算を知る。 そして、強い印象が焼き付いて離れない。
どかはねー、『PARTY7』おもしろかったけど、 やっぱり『茶の味』のが好きだなー。 『茶の味』も外して外して、 予定調和の輪の外へと飛びだしていくんだけど、 なんというか、その飛び出すときのウェーキー(軌跡)を、 きちんと裏打ちして残してくれるような感触。 外しっぱなしじゃなくて、こうやって外したんだよー、って。 そこが優しい。
石井監督のもとからのファンのヒトは、 『茶の味』は人情に流されているって指摘するかもだけど。 そうかも知れない。 たしかに『PARTY7』の破壊的なベクトルは、 『茶の味』には無いかも知れない。 でも、ちゃんとつながってるんだよ、きっと。
例えば。
例えば、キャプテンバナナの黄色と、 あの逆上がりのあとのひまわりの黄色、とか。
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