un capodoglio d'avorio
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2004年09月07日(火) 野沢尚「恋人よ」

先日、マイミクのさえサンに関東でこのドラマの再放送をやってると聞いて、あーこっちではやってないよーって残念に思っていたら、いつの間にか関西でもやってたのね、再放送。脚本家は、先だって自殺で話題になった人気作家の野沢サン。でもまだ野沢サンがブレークする前のドラマ、これは。たしか、1995 年放送。


どかはリアルタイムでずーっとはまって見ていた(というか当時、わたしは大学の男子寮にいて、男子寮総出でこのドラマ見てたよ‥‥こわい w)。それまでも、そのあとも、たくさんドラマ見たけど「恋人よ」はどかにとってもかなり大切なドラマだと思う。野島ドラマ以外では、希有と言っていい(あとは「マンハッタンラブストーリー」くらい)。当然、野沢サンのドラマのなかでベストは断トツでこれを推したい。


とにかく中心キャストがみな、演技が上手い。鈴木保奈美に鈴木京香のWスズキ。岸谷五朗に佐藤浩市。万全である。この四人のあいだでラインが交錯していくというありがちな話なんだけれど、セリフの巧みさとキャストのいい演技とで、ぐいぐいストーリーを展開してしまう。音楽も良かった。セリーヌ・ディオンとクライスラーカンパニーの「To Love You More」が主題歌で、それいがいの挿入曲も、当時のドラマの中ではかなり垢抜けていたもの。


そして、なんといってもラストシーンに尽きる。男子寮生がみな、号泣するという世にもおぞましい風景(笑)を生み出した、あの沖縄の海岸に望む崖に咲き乱れるブーゲンビリア。ドラマのテーマ自体も、決して野島ドラマのそれみたいに過激でも深遠でもなく、「プラトニックラブ」と「生と死、その輪廻」のふたつなんだけれど、このときの野沢サンが優れていたのは、セリフ回しが抜群に上手いくせに、言葉でそれを説明せずあえて、ラストシーンの映像に全てを語らせたことだ(野島サンならかならず、長い長いモノローグが入る、徹底的に言葉責め w)。


ヒロイン愛永(まなえ)のキャラクターの造形も巧み。あの手紙のやりとりの中に必ず書いた、そしてドラマそれ自体を締めくくった<かしこ>という響き。「愛」だの「恋」だのでドラマを作りたいんだったら、このくらいの完成度には最低持ってきてもらいたいものだわ。とツトに思う。


9年前にリアルタイムで見て以来、ひさしぶりに見た。まだおもしろかった。なぜかそれに、ホッとした。


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