un capodoglio d'avorio
どかの予想と買い目は割愛。ってか、言うまでも無い。
単勝 10番 ファインモーション
これだけです。
安田記念の悲劇から一ヶ月半。馬券を買ってきて、あれほど悲しいレースは無かった。心底、ファインの境遇を哀れんでしまった。ほんとは、哀れんだりしちゃだめなのに。だって、彼女はクイーンなんだもん。天上天下唯一絶対の女王なんだもの。そんな娘だから、何をしても哀れむことだけはしちゃいけない。分かってるんだけど・・・、伊藤雄二、忌むべし。
・・・まあ、いいや(よくないけど)。
で、伊藤(雄)調教師は、ファインの復帰第二戦に函館競馬場を選んだ。3歳夏、彼女がそのシンデレラの階段を昇り始めたターフを、再帰戦の地に選んだ。ここで負けたら、即引退。という噂が立っている。それはそうだろう。そうだと思う。まさにがけっぷち。
相手はクラフトワーク、ダービーレグノ、ヒマラヤンブルーといったあたりだろうか。牝馬はファインただ一頭。しかもトップハンデの斤量57kg。でもかつてのファインなら、しょせん相手は格下、4角からの自然なスパート、鞭を使わなくても一蹴でしょ・・・でも、いまは。
鞍上の武豊はとても良く乗ったと思う、彼もいいかげんすごいプレッシャーだろう。特にファインとかアドグルとか言った持ち駒に乗るときはハンパ無いと思う。ファンの期待がでかすぎるもんね・・・、そして、そのプレッシャーを受けつつも、こんかいの彼の手綱さばきは狂わなかった。ファインのかかりグセを押さえるために、発走から2角まで、馬群からただ一頭外に置いて、距離をロスしてでも落ち着かせる。で、極力なだめつつ優しく乗って、3角過ぎて、2度ほど手綱をしごき、4角で自然に進出、馬場の良いところを通って直線を向いてトップ!
どかは、この瞬間だけで、もう切なくて泣きそう。3歳のころの、一番彼女が輝いていたころの、後続に10馬身つけて勝っていたころの彼女のムードと重なったからだ。厳密に言うと、3角で手綱をしごいているところや、4角に飛び出してくるときの彼女の首の角度とかが、あのころとは違っているのだけれど、でも、安田記念や毎日王冠の彼女と比べたらどれほど今回のファインはたおやかであったことだろう。
結局、直線伸びきれず、内をするどくついてロス無くまわったクラフトワークに先着を許す2着。どかは、もう、ただ放心。放心。
次は、札幌記念らしい。もう、これでいいよ。遙か北の大地、夏競馬で馬群にまみれるファインは、ホントのファインじゃないって、どか、思ってた。でも、いい。もう、いい。無事に走ってくれる、彼女がいればそれでいい。そう、引退はまぬがれたのだから、元気に走る彼女を1レースでも多く見られれば、どかはもう、それでいいです。
何だか、泣けてくる、無性に。女王が、一市民になって、それでも走る。その走りの軌跡にかすかに透ける、気高い香気。それを見るだけでどかは、もう、いいかも知れない。
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