un capodoglio d'avorio
2004年02月16日(月) |
野島伸司「プライド」(第6話) |
今回はできるだけあっさりと、どか、書く。
第6話、ようやく持ち直したね。やれやれ、良かった。面白かったと思います。
ってか、第5話のゲストが風間杜夫で第6話が松坂慶子…。か、蒲田(映画)ですか?と、びっくりぎょうてんぱーなどか。その伝でいけば第7話は絶対、平田満だ(爆)。ま、それはおいといて。
テーマは母性だ。ついに登場する、ハルの母親(松坂慶子)。姿をあらわした彼女は、しかし決定的に母性を欠いている。薄っぺらい演技だなーと思ってたら、そういう設定なのだ、狙った薄っぺらさはさすがな演技だ松坂慶子。で、その母を巡って、ちょっと、キレイな場面、2つ。
ひとつ。ハルに「もうあのヒトに会わない方がイイ」って亜樹が言って、ハルがキレるシーン。ハルが出てったあとの、亜樹の涙。良かった。竹内サン、いままででベストだ。泣くの下手だった前回の坂口クンとは雲泥。別にハルに冷たく突き放されたから辛かっただけではない。ハルの母親には勝てないという空しさだけでもない。結局、ハルがかわいそうで、かわいそうで哀れでならなかったのだ、あの涙に、自分は入っていない。この時点で視聴者はまだ「真相」を知らないのだけれど、でも、あの涙の美しさに、悲劇の予感は漂っていた。演出も、良い。
ふたつめ。ハルが母親を見送るシーン。ついに自分は「母親」を得られなかったという絶望にまみれながら、何とか、母親に買ってもらったマフラーを彼女にかざして、微笑むシーン。木村サン、これまででベスト。良かった。確かに、格好良かった。カッコいいのは、こういうことだ。第5話までのハルじゃあ、無い。
そして、ハルは亜樹こそが自分を包む「母性」を持っていたと知る。
亜樹 かわいそう、ハル きっと男の子はママで泣き言聞いてもらう練習するのに ハルは、それができなかったのね 私がハルのママだったら、いつでも聞いてあげたのに そしてあなたを悲しませる、 ありとあらゆるものから守ってあげたのに かたときも目を離さず
(野島伸司「プライド」第6話より)
ハルは亜樹にしがみついて「初めて」泣く。そして、愛していると告げるのだけれど。でも、ここにあるのは恋愛感情ではないのも明らか。ここには、亜樹からハルへの母性の発動と、ハルから亜樹への母性の欲求があるのね。別にだからといって、悪い訳じゃない。いや、むしろこのリアリティと説得力を、野島サンはライフワークで大切にしてきた。「高校教師'03」で出た結論とは、
[ I Love You ≦ I Need You ]
つまり、恋愛感情よりももっと別の感情をこそ、大切にすることへの希求だ。容子がハルに語って聞かせた「優しさを求める女はダメよ」発言も、全て、結局、母性へと集約されていく。惜しみなく自分を犠牲にしていく精神、つまりイコール古き良き時代の女ということになる。
さて、これからが大変。亜樹の彼氏がアメリカから戻ってきそう。つまりハルと亜樹を繋ぐ「母性」に対して、亜樹と彼氏の間の「恋愛」が攻勢に出る。より、展開をスピードアップしてくれることを、期待したい。
そしてどかは、やっぱり、ハルと亜樹は結ばれないと思う。だって、春と秋は、繋がらない季節なんだもん。その2つは似ているけれど、でも、時間的にも、そして本質的にも、結ばれることは無い。と、思う。これが野島ドラマならきっと、そうなる。一応、予言。
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