un capodoglio d'avorio
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2003年12月18日(木) マンハッタンラブストーリー(最終話)

そして、こちらも最終話は、若干トーンダウン。
いや、たくさんたくさん笑ったんだけどね、
最後だからって、きょうだけこのドラマ観た人は、
呆気にとられて感触はイマイチだろうなーって。

TOKIOの松岡クン、「表情だけ」の演技が乗りに乗ってて、
ってかちょっと悪のりしすぎとも思ったけど、最後だし、ね。
で、その喫茶店の店長・松岡クンとタクシードライバー・KYON2が、
中心になって話がすすむのだけれど、最後はまっすぐ(でもないか・・・)、
ハッピーエンドで、ちょびっと意外かな。
でも、このドラマ、ほんっっとうに面白かったあ。
良いドラマ、っていうか、好きなドラマだわ。


  あんたはブレンドしてはいけない2人の女性を、
  同時に好きになっているんだ
  分かるか・・・、あんたはブレンドし過ぎだ!
  ブレンド依存症だ・・・
  あんたはまだ、コロンビアの味もマンデリンの味も知らない、
  一方の魅力を知るためには、
  もう一方を捨てる勇気が必要なんだ!

  (TBS・マンハッタンラブストーリー・第2話より)


って、店長はドラマの序盤で、
一途な気持ち、純情の価値について語るんだけど・・・。
でも最終話、店長はうってかわって、
「ヒトの気持ちほどあてにならないモノはない」と語る。
・・・確かに然り、としか思えない。
このドラマ、登場人物がほんっとに好きになってくっついたり、
他の人に目移りして別れたり、毎回毎回、カップルが変わってるくらい、
コロコロコロコロ、猫の目みたいくだったもんね。
で、店長はそれをいままでカウンター越しに眺めてきて、
彼ら彼女らの言動行動のひとつひとつにやきもきしてて、
挙げ句のセリフだもん、うんうん、説得力、あるなあ。

本人が、精いっぱい、本気(マジ)になったところで、
その本気(マジ)はいっこうに評価されず、
それとは違うところがどんどん評価されるということ。
純喫茶マンハッタンとして、珈琲の味のみで勝負しようとしていたら、
店長の意気込みとは反対に、
アイスクリーム、コーヒーフロート、ナポリタン、
レトルトのカレー、テレビ、スラムダンクなどを揃えなくちゃな感じになって、
そもそもの純粋(まっすぐ)路線がどんどん崩されていく。
結果、最近はスタバやドトに押され気味で旗色悪いけど、
どこにでもある感じのあの、いわゆる「きっさてーん」風な喫茶店ができあがり。
でもそれはそれで、常連サンたちがいつも来てくれて、幸せじゃーん?
っていう。

本気(マジ)とか純粋(まっすぐ)とかが、
無条件で評価されることなんて、おかしいよなーっていうことを、
軽やかに笑いをまぶして差し出してくれるドラマだった。
だって、本気(マジ)とか純粋(まっすぐ)なことで、
近所迷惑しまくりな某国大統領の例を引くまでもなく、
そのことを信仰のように崇めていてもきっと、
何も、幸せになれるとは、限らない。
幸せになれるかも知れないけれど、さあ?
っていう。

でも、そうだと思うの、うんうん、そうだよなー、そうだもんさ。

本気(マジ)信仰とか純粋(まっすぐ)宗教とか、
そんなのが、真実であり絶対であるなんていう幻想は、
どかは大学3年の秋に、捨ててしまった。

じゃあ、宮藤官九郎は、本気(マジ)とか純粋(まっすぐ)になんか、
なるもんじゃないよ、なっちゃダメダメって言っているのか?
違う、そうじゃない。
本気(マジ)とか純粋(まっすぐ)なんてさ、
ことさらエバって言わなくていいじゃんよ、こっぱずかしい・・・
ってことなんだと思うのね、どかの解釈では。

だってさ。
本気(マジ)にもなれないようなヤツは、
カッコワルく無いかも知れないけど、つまんない。
純粋(まっすぐ)になれないようなヤツは、
カッコワルく無いかも知れないけど、友達にはなりたくない。
っていう。

そんなん。
本気(マジ)なんて、言わずもがな、当たり前だから。
純粋(まっすぐ)なんて、言わずもがな、前提だから。
でもそこで立ち止まっちゃって意固地になって、近所迷惑になるくらいなら、
辛いことのモスコシ先まで進んでみて、自分を笑っちゃおうぜい。
っていう。

そう考えるとすごい、ふかーいオットナーなドラマだったんだなーって思う。
コメディでしか言えないことを、ちゃんと言い切ったドラマなんだー。
恥ずかしいセリフを言うときは、見ていて、ちゃんと笑えるように。
泣けるシーンになるときも、見ていて、ちゃんと笑えるように。
本気(マジ)になってるキャラに、見ていて、
完全にシンクロしちゃわないように。
純粋(まっすぐ)になってるキャラに、見ていて、
100%シンクロ、しちゃわないように。


  失敗したっていいじゃない、人間だもの!

  (同上・第8話より)


と言うKYON2は、特撮5人モノの、
ピンクの衣装(コスモピンクというらしい)を着こんでポーズを決めており、
その後ろで店長(@コスモレッドの衣装)がさらに、


  相田みつをだ・・・

  (同上・第8話より)


とツッコミを入れる。
きっと、宮藤官九郎とスタッフ達は、
このセリフ「失敗したって・・・」をバカにしているのではなく、
このセリフと同じくらい、コスモファイブのアホな衣装と、
店長の冷めたツッコミも大切だ。
と、言いたいんだと思うの。

きっと、全部、そういうことなのだろう。
うーん、深いなー。


・・・


蛇足・このドラマ、視聴率悪かったらしい。
   「白い巨塔」の裏だったという不運が大きいのだろう。
   でもなー、みんな、こういうドラマを大切にしようよー。
   今後、こんな感じのドラマが作られなくなったら、ダメだよ。
   いまだからこそ(2003年・日本)、こういうのが、必要なのにぃ。


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