un capodoglio d'avorio
・・・このオチは、およそ想像がついたわけだけれど。
予想以上に、あっさりしていたなあ、最終話。 もう少し、土壇場の急展開があるのかと思ってたけど。 でも、これはこれでしょ、やっぱこのドラマの面白さは、 ストーリーじゃなく、役者の演技だったもの。
でもそのストーリー。
カード会社が舞台なのよね、クレジットカード会社ね。 おっと、思い出すなあ。 どかの前の職場、まさにそうだもんね。
で、多分、某会社なら「計算センター」と呼ばれる部署が、 まさしく殺人事件の震源地となるわけで。 そしたら、これがまた、リアルなんだ、描き方も。 よっぽどちゃんと取材しないと、 「加盟店」だの「会員」だの「売り上げ」だの「明細」だの、 あんな風に自然にセリフに織り込めないだろう。 って思ってたの、ビックリしながら。
最終話でも、主人公・冬川美咲(浅野温子)が、 10年前に会社の売り上げを横領したときの心理状態を、 マサト(三上博史)が代弁するくだりがあって。
で、自分は安い収入で働いているのに、 世の中には一日で100万も200万もどんどん使うやつがいる。 自分の目の前をすごいお金が素通りしていく。 やってられない・・・
みたいなセリフなんだけど・・・リアルだ。 というか、そう思うもんな。 だって・・・思ったもん、どかも。 一応の権限をその昔、どかも持っていて、 で、ある一定金額までは自分がサッと信用販売を承認しちゃってたんだよね。 でもその権限も、ウン百万なわけで、 自分では使い切れないような金額が、 無機質な数字となってどんどん、 それこそ数秒ごとにどんどん通過していく。 そりゃあ、とらわれるって、誰でもそういう、虚無感に。
非接触型のICカードの仕組みについても、ちゃんと取材されてて、 ウソはかなり少ないプロットになってたし、 きっと、大多数のヒトは、何気なく流すディテールも、 そしてどかも、5年前の就職活動で、あの会社を選ばなかったら、 何気なく流していたであろうディテールの、 そのいちいちが、どかはかなり、楽しめた。 ちがうところでドキドキしちゃった。
・・・! そしたらなんと、この脚本家さん、 昔、どかがいた某カード会社に、 まさにあの会社に勤めてたヒトなんだってっ。 ああああ、どおりでーっ。 だよなー、そうじゃなくちゃ、ここまで上手く、 ストーリーとカード会社の本質を絡めること、できないだろうしなあ。
まあ、それはそれとして。 最終話は若干、トーンダウンしちゃったけど、いいドラマだった。 三上博史と浅野温子は、やっぱり千両役者、 往年のトレンディードラマの時代を支え続けた力量は健在だった。 「もうひとりの自分」ってオチは、ちょっとオカルトちっくで、 で、ちょっと小ズルいウソ(演出でね)があったりして、引っかかるけど、 でもまあ、どかはオカルトっぽいの自体にはそれほど嫌悪感無いし、 それも含めて、あの名作ドラマ「ツイン・ピークス」っぽい雰囲気が好きだった。
デビッド・リンチ監督の伝説のドラマ「ツイン・ピークス」は、 アメリカのさびれた山村で、人々の孤独の隙間に忍び込む殺人事件がテーマ。 でも、21世紀、一番人々が孤独になるのは、都会の企業の中なのね。 そう、カード会社とかね、孤独だよねー(おっと)。 もう少し、 お金と時間をかければ「ツイン・ピークス」に迫る完成度になったかと。 最近たたかれて、大変だろうけれど、がんばれ、NTV。
あ、ひとつだけ、全然だめだったところ。 主題歌。 Skoop on Somebody はあかんやろー。 ぜんっぜん、だめ、ぶちこわし。 あの重厚な役者陣の演技から、浮きすぎ。 曲調はちょっとサスペンスっぽいけど、 歌唱力、演奏力、全部ダメ。 もったいないなあ、もっと、いるだろうにね。 だめだぞ、NTV。
|