un capodoglio d'avorio
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2003年08月30日(土) 末続サンおめでとーっ

世界陸上パリ大会、男子200m、末続慎吾選手が銅メダルを獲得した。
スクーリングで健全な生活リズムを取り戻したのに、
最近、みるみるうちにまた、宵っ張りキャンペーン復活したどか。
でも、そのおかげで、この歴史に残る快挙を、ライヴで観ることが出来た。

末続サンのコーチは、あの高野進サン。
高野サンと言えば、どかの世代で陸上競技に関わっていたヒトには、
神様のような存在、いや、もう神様だった。
高野サンは世界陸上とオリンピックで、
400mというスプリント種目でファイナルに残った偉人。
高野サンが引退したあとは、もう、
日本人がスプリントでファイナルに残るのは無理だろうと言われていた。
しかしっ・・・ファイナルどころか、コーチが届かなかったメダルまで、
この23歳の若きエースは手に入れてしまった。

どかは予選や準決勝の末続サンのレースを観ていて、
否応なく、かつての高野進の走りを思い出した。
卓越したコーナリング、スムースな美しいフォーム。
身体能力ではモンゴロイドは他の人種と比べて圧倒的に不利。
その不利を覆すための、怖いくらい冷静で、凍り付くほど美しい戦略が、
パリの競技場で展開されたのだ。
「水の上を滑っていくような」と表現されてたけどまさにその通り。
走ってるんじゃなく、滑ってる感じ、スーパースムース。
ドライアイスのかけらが、ツーッとテーブルの上を流れる、そんな感じ。

スタートは、なんだか、今まで注意されてこなかったささいなことを、
決勝に来て、係員に注意されて、ちょっと、納得いかなかったらしい。
そしてその影響で、スタートの反応は遅れる。
スタートが遅れたら、日本人はもうダメ。
というのがコレまでの常識、でも彼は違った。
世界一のコーナリングを発揮してダッシュをかけ、
コーナーから飛び出すときには5位にまで回復。
そして飛び出した瞬間にフッともう一段加速して、
一気に4位、ストレート後半にかけて粘って3位に上がる!
日本人がストレート後半で欧米人よりも速いなんて、
一瞬眼を疑ってしまった、ありえない!
かっこよすぎ、かっこよすぎだよ。

3位確定後、高野コーチと抱き合って、涙を流し、
天を仰いで、言葉にならない叫びをあげる末続、
こらえてきたけど、泣いちゃうどか。

かつて6年間、陸上部で短距離をやってきたどかなので、
そりゃあ、全然レベルが違うし、恥ずかしいけれど、
でも、あのコーナーを抜けたときにフッともう一段加速する感覚は分かる。
本当に、自分に羽根が生えたかのように、カラダが軽くなるんだ。
重力の鎖をほどいて、しがらみの麻紐がちぎれて、
ネガティブスパイラルが霧散する幻想。

そっかあ、あの幻想の向こうに、リアリティはちゃんとあったんだなあ。

そうしてまたひとつ、大切な記憶の1ページを取り戻した。


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