un capodoglio d'avorio
2003年06月25日(水) |
'03 Rd.6 CATALUNYA/Barcelona |
噂は本当だった。 ムジェロをさらに上回る、好レース、見せ所満載だった。 やっぱりねー、観客がレースを作るんだよ。 上半身裸の男が、爆竹バリバリ鳴らして、 その白煙のなかをついてこそ、1000ccのモンスターは走るんだよ・・・
バルセロナにあるカタルーニャサーキットは、 ながーい直線を、低速コーナーでとりかこんだ、 典型的なパワーサーキット、王子にはいかにも辛いなあ。
まあ、例年というか、Moto-gp界のお約束ごとの1つに、 イタリア人・日本人は母国のレースに強いけど、 スペイン人は母国のレースでは潰れるということがある。 イタリアと同じくラテン系なのにね、 スパニッシュはなぜかみな、ガラスの心臓。 まあ、はた目に観ても、世界で二番目に熱い観衆はイタリア人で、 それを凌ぐのが唯一、スペインやカタルーニャのスペイン人だから、 プレッシャーもちょい、強くかかるのかも知れないけれど。 クリヴィーレとか、弱かったもんなーいつも転んでた。
でもジベルナウは頑張った、プレミア211Vに乗っているとはいえ、 表彰台をちゃんとゲットできるのだから大したものだ。 しかし、残念ながら、彼の地で話題を独占したのは、 歴史的な偉業を達成した、イタリアのライダーとファクトリーだった。
ロリス・カピロッシ&ドゥカティ、ついに初勝利!!! 勝ったー、ついに勝ったー、おめでとーカピー!! GP最高クラスで日本のメーカーに勝ったのって、 いつまでさかのぼるのだろう、おぼろげなどかの記憶だと、 イタリアのカジバでエディー・ローソンがGP500ccを勝ったレース以降、 記憶にないなあ、うん、あれ以来じゃないかな? カジバも「ステディ」エディのセッティングの才を得て初めて勝てた。 とすると、カピロッシはあの偉大なチャンピオン・ローソンに並んだのか? 原田哲也の二度目のチャンピオンシップを、かつて、 故意にぶつけて潰した悪役のイメージは、もう、彼方のものになったね。 いまではどかのお気に入りのライダーのひとり。 あの「直線番長」のドゥカティをスライドさせまくりながら、 マシンと格闘しているサマはスリリングでエキサイティングだ。 ロッシのスライドは磨いた刀身の上を渡るようなヒヤッと冷たい感じがするけど、 カピのスライドは、熱い、熱いッすよ、んーラテン (インタビューではクールなのにね)。
そしてそのドカ&カピの偉業よりもドカが熱くなったのが王子の劇走! がんばったよう、中野真矢! 格好良すぎる、何がって日本人最高位なんてことではなく (だって、そんなの当たり前、ノリックもいないんだしね)、 そのライディングスタイルと、ラップタイムだ。 中団から抜け出して先頭集団へジリジリ追いつくときの、 王子の走りは何か、気高いものを感じる。 よけいなモノをそぎ落としたミニマムな誠意を感じる。 彼はスライドは最低限しか使わない。 250cc上がりらしく、かつ、いまでも250ccのスペシャリストらしい技術で彼は、 コーナーを誰よりも高いスピードでスムースに回っていく。 往年の原田哲也にイメージが近い(原田のラインはさらにタイトだったけど)。 ブレーキと立ち上がりよりもコーナリングスピードでラップタイムを削っていく。 中継画像で派手なアクションを観られないから、GP初心者には、 あまり速いとは見えないかも知れないけれど、 彼は現役Moto-gpのトップライダーの中で、最も異質なスタイルで、 変わらないタイムをたたき出す、革新者なのだ (強いて言えばビアッジが近かったけど、最近彼も、ドリフトキング)。 イタリアに引き続きの堂々の第5位、完全にトップライダーの一員だ。 ヤマハファクトリーのチェカが4位で後れを取ったのが悔しいけど、 ま、チェカはスパニッシュだしね、おまけだおまけ。
でもね、その王子よりもどかが強烈にヤられたのはね、またしても帝王だった。 ロッシ、きょうは序盤ずーっとトップを走り、中盤、カピとちょっと競りあって、 で、あまりに暑かったのでしょう、集中力を欠いたッぽいミスを珍しくして、 それでカピに抜かれて後ろについて、そしてその後、 さらにでかいブレーキングミスでコースアウト・・・。 いっきに順位を6位(だっけ?)くらいまで落とす。 もうレースは終盤、前を行くカピの姿はおろか、5位の王子も見えない、 そんな状況で、パンドラの箱は、開いてしまった。
実況も、ただ、ただ、「ロッシ、スイッチが入りました!」としか言えない、 超・究極のスパート、レーシングレコードを更新しながら前を追いかける! やばい、まじでやばいよ、鳥肌たちまくり、速い、速すぎ。 そして、集中して速くなればなるほど、転ばないのが、帝王たる所以。 ぜったい「スイッチが入る」とこの人、ミスしないんだ。 先頭集団より一秒以上速いラップタイムを刻んで次々前を行くライダーを、 その歯牙にかけていく、超人ロッシの映像、お茶の間に流すには刺激が強すぎる。
結局、カピ&ドカには届かないけれど、なんと2位にまで浮上して、 最後の最後までアタックを続けてゴール。 イタリアメーカーの偉業を讃えつつも、GP関係者の印象に深く残ったのは、 「いつものヒト」の「ほんとうのすごさ」だった。 どれだけ滑らせても絶対レコードラインを外さずに深くつっこめるから、 一番ブレーキングに強い。 誰よりも早くアクセルを開けてもハイサイドのすれすれをキープできるから、 脱出スピードは誰よりも速い。 口で言ってしまえばそれだけのこと、でも、あの映像のあの凄みは伝わらない。
このレース、観れて良かったなー。 最終ラップ、王子も頑張って、4位のチェカにしかけてかっこいいし。 やっぱ、全てのスポーツの中でGPのドッグファイトほど熱いものはないなあ、 どかにとっては、と思うのであります。
次は、伝統のアッセン、オランダGP! 楽しみだ、ガンバレ、王子!
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