un capodoglio d'avorio
2003年06月01日(日) |
G1日本ダービー(東京優駿) |
140,000という数字のリアリティとは。 抽象的な価値ではなく、具体的なリアリティとは。
競馬に関わるヒト全てがいちばん大切に思い、 夢見て焦がれるレース、ダービー。 去年はそう聞いても「そうなん?」と思ってたけど、 一年間、通してシーンを見てきたいまは自然に納得がいく。 やっぱり、春天よりもジャパンカップよりも、 そしてグランプリ・有馬よりも、ダービーなんだ。
台風4号の上陸に伴い前日は強い雨がターフに降り注ぎ、 大一番の馬場状態は、ちょっと残念なことに「重」。 でも昨日から比べるとずいぶん良くなったみたい。
パドックに行く。 今まで見たこともないような人だかり、 馬体自体が、もう見えない。 予想と予感の気配に押しつぶされそう。 異様なテンション、雑踏との距離感が上手くとれない。 軽い耳鳴りが止まないなか、偶然空いたベンチに座って、 印を入れた「勝馬」の最終チェック・・・迷う。 すんごい、迷ったー・・・あげく、決定。 軸は1番人気、13番ネオユニヴァースだ。 あの伝説の皐月賞、サクラプレジデントとのタイマンたたき合い、 結果、首差の決着だったけど、でもその「首一つの差」こそ、 パンドラの箱だ、開けては成らない狂気の領域。 イタリアの若き天才、鞍上デムーロも信頼できる。 単勝で勝負することも考えたけど・・・相手を探すことにする、で。
馬単一着流し 13・ネオユニヴァース(全知全能) → 1・サクラプレジデント(2番人気・皐月賞の因縁・絶対性能) 5・エイシンチャンプ(5番人気・二歳馬チャンピオン・しぶとさ) 16・サイレントディール(4番人気・鞍上武豊・追い切りの良さ) 18・ザッツザプレンティ(7番人気・鞍上安藤勝己・重馬場得意)
三連複 13番を軸に上記4つを組み合わせて
こんなで、ポイントは3番人気の3・ゼンノロブロイを外したこと。 ロブロイは鞍上ヨコノリでそれは魅力だったんだけど、 藤沢和厩舎というのが引っかかる、なんか、ヤで。
さて、発走前、新スタンドの四階まで上がって、観戦体勢を整えて。 この日、府中の東京競馬場に集まった観衆は、13万9000人。 その14万人ものヒトが、一斉に歓声を上げて、 自分に出来る限りの祝福を捧げる場。 それが日本ダービー。 もう、ファンファーレがかき消されるくらいの大歓声、 東京ドームはもとより、阪神甲子園球場の「六甲おろし」も、 これにはかなわない。 かなわないのは、大歓声やざわめきのデシベルなんかではもちろんなく、 空間に満ち満ちる福音の濃度においてだ。 半泣きで「あー」とか「うー」とか意味不明な発声でうめくどか、 発走前にもはやテンションは振り切れてしまった。 140,000という数字のリアリティを、頭よりも先に身体で体感するどか。
そして、発走! 2,400mのスタミナ戦。 ホームストレートの坂を上がって、そこからさらに、一周。
↑再びこのゴール版の前に帰ってきた瞬間が偉大な歴史の1ページ
第4コーナーを立ち上がって、 逃げ馬エースインザレースを追いかける、ゼンノロブロイ。 そして直線半ば、ネオユニヴァースの神々しい末脚が炸裂する。 先にスパートしたザッツザプレンティを易々と捉えて、 エースを抜き去り、ロブロイをも捉え、駆け抜ける! 府中の杜が、沸騰する、記憶が、飛ぶ。
結局、2着にどかが敢えて外したゼンノロブロイが来たため、 3着、4着がどかが流したサイレントとザッツだったけれど、 ダメはダメ、はずれははずれ。 でもねー、武サンもアンカツもすごい頑張ったよ。 馬の絶対能力から言えば、3着4着はもう100%の出来だ。 特にザッツは、皐月賞8着の惨敗から見事にここまで持ち直したよなあ。 ロブロイも、ヨコノリは100%の騎乗だった、でもネオには勝てない。
ネオユニヴァースの凄さは、 切れ味鋭い末脚が持続することにあると言われる。 でも違うよね、どろまみれの馬の顔に、それは違うと書いてある。 本当の凄さは、道悪を全く意に介さないタフネスと、 馬群の中に割って入ることも恐れない勇気だ。 すげー、かっこいい、強いよー、うん、強いー。
どかは「力」を信仰する。 絶対的な「力」を信仰する。 中途半端な「力」は一番嫌い。 石原慎太郎とか小泉純一郎とかジョージブッシュとか、 ああいう中途半端なくせに「力」を執行する輩は一番嫌悪する。 絶対的な「力」は、そんなチャチなもんじゃなくて、 例えば牡馬二冠のネオユニヴァースのあのスパートだ。 例えば牝馬二冠のスティルインラブのあの伸びだ。 この二頭、三冠を達成する可能性はかなり高いと思う。 牡馬牝馬が同時に三冠を獲った年っていままであるのだろうか。
もしかしたら、いま、どかはすごい歴史に立ち会っているのかも知れない。
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