un capodoglio d'avorio
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2003年04月28日(月) つか「熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン」(愛の重量挙げ)2

大山金太郎の吉田サン、巧いなー。
もうつか節がカラダに身に沁みていて、けれども予断が無く新鮮な体当たり。
怒鳴るとでもカラダががちがちに固くなってしまうのは、なぜ?
それはそれでいい味かも知れないけれど、センターにはきついかも。
あと、全く遊べないのはやっぱり辛いなあ。

そして伝兵衛・友部サン、最初、ほんっとにいっぱいいっぱいだった。
そして吉田サンと同じように、全く遊べないし余裕もなくて。
これまでのつか芝居のなかでは結構がんばれてたのにな、やはり主役の重圧か。
だから問題外の水野はとりあえず措くとしても、
とにかく余裕の無い「熱海」で、結構辛いかなって。
「蛍が帰ってくる日」とか「平壌から来た女刑事」なら何とか成立しても、
これは改訂しても「モンテカルロイリュージョン」。
すたあサン専用の戯曲なのだから、ここまでテンパッちゃうと、なー。

しかし終盤にかけて、ステージはにわかに変容する。
逃げ場を失って追いつめられたキャストは、必死の踏ん張りを見せて、
戯曲のスピードに追いつくためにそれぞれの加速度を、
マックスまで引き上げようとがんばる。
・・・まず、吉田サンが追いついた、浜辺のシーン。
そして友部サンがやっと「伝兵衛」になった、パピヨンのシーン。
最後の死刑台のシーン、嶋サンが戯曲のラストになんとか間に合って。
そしてカタルシスは北とぴあを満たしていく。

・・・

浜辺の金太郎がアイ子を殺すシーンは、去年の小川岳男・金太郎に近い迫力。
死刑台のシーンの速水も、御大春田のそれに匹敵するくらいリアリティがあった。
そして何より、友部伝兵衛のパピヨン。
あの脂肪と筋肉が入り交じった巨体を振るわせて、
花束で大山金太郎をしばきあげるあのシーン。
すごい迫力だった、この舞台で初めて、友部サンの身体が生きた瞬間だった。
いくらネタとして「重量挙げの選手」という設定を使っても、
なんだか友部サンは固かったから、うまく遊べてなくて辛かったけど、
ここにきて、ようやく自らの全てを解放していた・・・
その迫力は、容疑者を圧殺するプレッシャーではなく、
容疑者を温かく包みこむ、そんな相反するベクトルを花弁に託す力。
やっとやっと、主役だったよ、友部サン。

戯曲のスピードに追いついた三人だから、あとは何も言うことはない。
どかは安心してココロをステージ上に投企していくことができる。


  速水  クリーンアンドジャーク303kg
      あなたなら挙げられましたか!
 
  伝兵衛 速水くん!
      私は誰よりもタイタンになりたかった男です
      私なら、挙げることが出来ました!


死刑台の上の伝兵衛には首に縄がかけられ、速水の「実況」はここから始まる。
どかの涙腺は崩壊していく、ただのおでぶチャンにしか見えんかった伝兵衛の、
その太鼓腹にふっとい二の腕に、全ての希望を、意志を、祈りを託していく。
どんどん「実況」が加速していく、そして・・・


  伝兵衛 やった・・・やった・・・!
      水野、やったぞ!


昨年のあべチャンバージョンでは、
最後に呼ぶ名前は彼がかつて愛した男速水雄一郎だった。
それが何と、今回、水野に変わっていた!
どかは「速水」って呼ぶと思いこんでいたからビックリして、
一瞬、何が起こったのかわかんなくて、
サーッと緞帳が下りていくのを観ながら、
その変更の「限りない優しさ」に胸をうたれて、何も言えなくなって、
気づいたら号泣、「オイル」どころではない涙まみれで、
無意識のうちに拍手してたどか。

うんうん、うん、やっぱりつか芝居はいいな。
先日観た「オイル」は、そりゃあ客観的に観て素晴らしい芝居だし、
完成度も高いし、エンターテイメントとしても申し分ない、
いま、日本で観られるもっともレベルの高い舞台。
でもね、どかは、明日世界が終わるかもしれないならば、
つかこうへいの舞台を見に行くのだ、絶対それは、もう。
個人的につか芝居を観ることは、かけがえのない時間だと言い切れる。

つかこうへい自身が演出していないのに、この破壊力。
前半から中盤にかけてを、ほとんど、無に帰してしまっていて、
伝兵衛と水野の恋物語のほとんどが流れてしまっていても、
これだけのカタルシスが降りそそいで劇場を押し流す。
だからこそ。
どかはこのステージに苦言を呈する。
あの水野は、やっぱり、無いよ。
前半から中盤までをもっと大事に、大切にして欲しい。
テンションとテンションをぶつけるという第一フェイズの、
次のフェイズへと、役者全員が移行していくべきだ。

「モンテ」に挑むならば、ぜひ、勝手だとは存じていますが、それでもぜひ。
ぜひ、伝兵衛は、あべチャンを(もしくは赤塚クンを)。
ぜひ、速水には、山本亨サンを(もしくは武智サンを)。
ぜひ、大山役は、銀之丞サンを(もしくは岳男サンを)。
そして、水野役は、ぜひぜひ、金泰希サンを(それ以外ナシ)。
このキャスティングを、つかサン自身が演出すれば、
きっと世界は、変わると思うのです、どかは。


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