un capodoglio d'avorio
2003年04月04日(金) |
つか「熱海殺人事件 平壌から来た女刑事」(大阪で生まれた男たち) |
キャスティング(大阪で生まれた男たち:4/4 16時〜観劇)
木村伝兵衛部長刑事:清家利一 熊田留吉刑事 :岡元次郎 水野朋子婦人警官 :木下智恵 容疑者大山金太郎 :小川智之 半蔵 :酒井隆之
恒例の千円劇場を二本続けて@王子・北とぴあ。 多分このシリーズは、どか、これで最後かと。 にしても、やっぱつかはエラい、この値段 (某「奇跡の人」や「オケピ」の暴利と言ったらあなた!)。 変化にすぐ、気づく、副題が変わってるのね、つまり、 「蛍が帰ってくる日」→「平壌から来た女刑事」に。 でもプロットの基本はほとんど変わらない。 変わったのは、水野が北朝鮮から来たスナイパーだという設定と、 あとは8年前の北朝鮮へのコメ支援や、金正日その人をストーリーに絡めつつ。
「大阪で生まれた男たち」というこのチームは、 数ある千円劇場のそれぞれのチームのなかでも、 最も好評を博していたらしいという噂で気になったんだよね。 で、実際、良かった、さすがだわJAE。 伝兵衛役の清家サマと熊田役の岡元サンはそれぞれ、北区つか劇団所属ではなく、 JAE所属のバリバリアクションのプロフェッショナル。 2人が絡むその立ち回りのキレは、さすがとしか言いようがない。 もはや、演劇の役者のそれではなく、仮面ライダーのそれだ・・・ また、清家サンに関しては、つか芝居への出演回数も数多く、 つか節への理解もかなり深く、とても見ていて安心感と迫力が。 御大・春田純一や、スター・山崎銀之丞を抜かせば、 この人が次に来るのかも知れないなー、つか役者としての「性能」は。 観る前から清家サンがすごいっていうのは知っていたし、 そしてその予想は超えないけれど、 ちゃんと期待値近くまでどかのテンションを上げてくれたし、 じゃあ、なんで2月とかにもこのチームやってたのに見に行かんやった。 と問われればどかはこう答える。
「だって、清家サン一枚で、あと、フォローできないでしょ、メンツ的に」
あとのメンツ、やっぱ、水野は金泰希サマじゃないとなー。 もう、あれを見てしまうと、いくらチマチョゴリ着させても、 もはや、全然どかの水晶体の中でスパークしないんだなー、恐縮ですが。 木下智恵サンは、美人なんだと思う。 最近連続で水野役で舞台に上がってるからこなれてきてるし、 泰希サマよりもずーっといいスタイルは、絡みのシーンで色っぽくてそれもね。 でも、セリフかなあ、コンマ2秒ずつベストのタイミングから遅いんだよね。 どかの中での、微妙な感覚なんだけど、ちょっと、遅い気がする、全部。 テンションがパチンと弾けたら、空気にその振動をすぐ伝わらせないと、 そうじゃないと、どうしても段取りに堕ちてしまうんだ、芝居は。 がんばってるだけに、惜しいなあって。
岡元サンは、声が聴きづらい、アクションはいいけど、 清家サンとの「ディスカッション」、あまりに声質が劣りすぎて辛い。
酒井クンは、前よりも良い、ちゃんとセリフを受けようとしてた。 目の前の相手へ向かっていくベクトルを出そうとしてた、 けど、まだ、弱い。
このチームで、予想外に「良かった」のは大山役の小川智之サン。 終盤、声張り上げるときにお腹じゃなく喉を使ってたから、 声帯をしぼっちゃって、かすれて全然セリフ聞こえなくて、 「ああ、北区病だなあ」って思ったけど、 でも、相手のセリフをちゃんと受けることもできるし、 自分のセリフも酒井クンみたいに、鼻につくようなねっとり感がなく、 まっすぐ、自分に言えることをちゃんと言おうっていう誠実さ。 あと立ち姿、イイナーこの人。
大山 人は下を向いて生きていかないかんとです 自分より不幸な人を見て生きていくとです
というセリフ。 浜辺のシーンクライマックス、アイ子に言った最後の絶唱。 このセリフがちゃんと届いたの、小川サンから。 それで十分だった。
この後、清家伝兵衛が、この大山を断罪する。 しかし、清家サンがいかに自らの華をステージ上でスパークさせようとも、 このチームでは、どかは泣けなかった。 理由は明白。 伝兵衛と大山の2人芝居ではないから、これは。 水野の不在は痛い。 水野がいないと、アイ子もいない。 だから、どかの水晶体の中に、スパークは届かない。 確かにイイチームだ、清家サンの余裕は舞台の隅々までを優しく包む。 芝居を初めて見る友人を連れて行くなら、このチームかもしれない。 大多数の演劇ファンにとって、このチームはいいチームだ。 でも、どかにとって「ベスト」のチームではなかった。
しかし、どかは、このクライマックスシーンの1時間後、 「ベスト」という言葉の意味と、 そして「スパーク」の本当の痛みを知ることになる。 ベビーフェイス・金泰希、アゲイン!!
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