un capodoglio d'avorio
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2003年03月02日(日) つか「寝盗られ宗介('03)」1

2003年度上半期、どかの最大の期待作。日テレでCMガンガン流してるから、世間の認知度もそれなりか。期待値が否が応でも高まるその理由は・・・

1 作・つかこうへい
  :かつて70年代後半の「つかブーム」の時より、
   何度も再演が重ねられている戯曲。
   重層的に立ち上がる「前向きのマゾヒズム」。かなりの名作。
2 主演・山崎銀之丞
  :筧利夫亡きいま(死んでないって)、
   つか節をもっとも上手く具現化できるのはこの人。ミスターつか芝居。
   ゲスで艶っぽい色気に甘い張りのある声、もうかっこいいんだから。
3 客演・小川岳男
  :北区つかこうへい劇団の最終兵器。彼なら銀之丞をサポート出来そう。

でもねー、一方では不安もあるのね。その要素は残る三つの要素。

4 出演・横山めぐみ
  :真珠夫人が、どこまでつかのマゾヒズムに前向きに取り組めるのか、
   不安はつのるのね。色気は大丈夫そうだけど。
5 出演・吉野紗香
  :・・・ただただ、不安。
6 演出・山崎銀之丞
  :うーん、いままで役者一本やりで、それこそつか芝居に関しての理解は、
   余人の及ばないところがあるのは重々承知だけれど、
   それでも初演出となると、どうなんだろうって?
   まあ、これは不安半分、期待半分かな、がんばれ銀チャン!




というふうな6つの焦点がどかの中にはあって、それを踏まえて昨日、雨降りのなか行ってきました紀伊国屋サザンシアター。でもBBSでも書いたけど実はどか、その朝から体調を崩してて、熱もあって。で、ギリギリまで家で寝てかろうじて起き出して中央線に乗ったていたらく。

いつものように心のアンテナの感度を上げる余裕はほとんど無かったな。ふぅふぅ言いながら席に着いたら、なんと前から二列目の真ん中。おお、すげー。銀チャンをこんな間近で観られるなんて、幸せだあ。

そして幕が開く、おぉ・・・久しぶりだねー、ミスターつか芝居!


・・・

幸いにもどかはまだこの後もこのチケットを取れてるので、フゥフゥ言いながらも茫洋として観ちゃったところがあって。まずは、銀チャンのつか芝居カムバック、めでたい!ということかな。めでたい、本当に。やっぱり銀チャンだよ、あの艶っぽいゲスな色気、青いアイシャドォも相変わらずでかっこいいよぉ。そしてあの銀チャン独特の節回し。最高です、最高。いついらいかなあ、4年前にぶぅと一緒に見に行った「犬を使う女」以来か、つか芝居で銀チャン観るんは。

とにかくね「華」が違うんだな。やっぱり北区の舞台とか観てても、みんなそれぞれ必死に頑張ってんだけど、舞台にはどうしても隙間が出来ちゃって、それがスカスカ感になっちゃうのな(28日の「熱海」は違ったけど)。でも銀チャンは違う。明らかに違う。すたあサンの「華」というのが何か、言葉を尽くさなくてもそのゲヒた笑みひとつで観客に分からせてしまう。甘え悶えるその情けないシナで観客に取り入ってしまうのね。

で、それはそれとして。フゥフゥ言いながら若干客観的に見えてきたモノ。横山めぐみ、力不足も健闘。吉野紗香、・・・ぉぃ。小川岳男、ちょっと浮いてるな、まだ銀チャンとの距離感がつかめてない感じ。舞台装置、いつものつか演出とおんなじ、素舞台(=ほとんど大道具を使わないということ。対義語:ケレン味たっぷり)。これはかなり好感度高い、どか。照明、こりまくり。ムービングライトをたくさん使ってオレンジやブルーをたくさん使って、女優二人の色気不足を補うかのごとく(あ、言っちゃった)カクテル光線で舞台を染め上げる。ま、大道具使われるよりはマシだけどさ。

つぎ、演出。銀チャン大奮闘。頑張ってるよ。つか演出を律儀に丁寧にコピってる。私心を捨てて、ギミックを排して。あー人柄がでるんだねー、誠実な演出だよ「でも・・・」。脚本。どかが前に観た「寝盗られ宗介('98)」とは違う脚本だった。というか、今回の脚本のが、きっと古いんだろうな。だって、今回の公演のサブタイトルが「つかこうへいヴィンテージシアター」だし、昔の初演の脚本、ほぼそのまま使ってんじゃないかな。('98)はつか自身の演出で、つかがどんどん脚本を書き換えながら演出つけていたから、できあがりは全く別物だった、かなりボリュームアップしてたよね。今回の元バージョンは、登場人物もかなり整理されていてシンプルそのもの。そのシンプルさという点ではかなり好みなんだけど「でも・・・」。

・・・ま、初見ではこんな感じにとどめておきたい。まだこれから観ることが出来るし。その前に、どかも前に観た「寝盗られ宗介('98)」をもいちどまとめなおしてちゃんとレビューにしておくつもり。あれはすごい舞台だった。未だにどかの中でトップクラスの破壊力を持ってるもの。

たぶん、銀チャンはつかこうへいの弟子だから、初日の幕があがったあとでも、より良い芝居にするためにはどんどん演出脚本も手直ししていくハズ。だからまだまだどかは期待してるの。「でも・・・」と感じた疑問が解消されればいいな。さしあたり、小川さんのジミーを、もっと銀チャンに肉迫させなくちゃ。逸材が、もったいないよ、銀チャン。

ひとつだけ、気づきたくなかったけれど、なんとなく気づいてしまったこと。

つかの20年以上前の脚本を、そのままのカタチで舞台にのっけても、若干厳しいかも知れない。つかはそれを敏感に悟って、5年前、改訂に改訂を重ねたんじゃないのかな?


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