un capodoglio d'avorio
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2002年09月23日(月) 「DRIVE ドライブ」

SABU監督の気になっていた映画、吉祥寺連獅子で髪切った後、
テアトル新宿にて観賞する、座席は七割埋まっていた。
俳優はいかにもSABUっぽい感じで。
堤真一・柴崎コウ・大杉漣・安藤政信・寺島進・筧利夫・松尾スズキ。
脇にさりげにいるのが松雪泰子・ジョビジョバ・根岸季衣・田口トモロヲ等。
ストーリーは、銀行強盗に入った四人組のうち、
一人(筧利夫)が裏切って金を持って逃走。
残りの三人が必死に追おうと包丁片手に車に飛び込んで「あの車を追え!」。
が、その車を運転していたのは超几帳面なA型人間の営業マン(堤真一)。
恫喝を受けても交通法規を遵守してしまう営業マンは、
時速40km以上出せず、スクーターにも抜かれ右折禁止の標識も守るので・・・
時速40km以下のカーアクション、その車でドライブする四人にはそれぞれ、
ひょんなきっかけでひょんな(でも必然の)自己実現が訪れていく。

この映画のテーマは「縁」「戦うこと」であり、主要イベントは「銀行強盗」。
なんか微妙な既視感だなーと思っていたら、ああ、あれだ、
「スペーストラベラーズ」だ、安藤政信だし、筧利夫だし!
テーマも、イベントも全く一緒で、でも、やっぱり全然別物。
あれは「踊る大捜査線」チームが作ったから、真面目にまとまってる。
予定調和、とは言わないが、物語が物語として存在してるし。
ところがこのSABU監督のは違うぞう。
なんたって最後は、スーツを着た堤真一が、河原で、
白装束の裃つけたご先祖様とチャンバラで一騎打ちなのだ、訳がわからん。
でも、それが良いのだ、面白い、はちゃめちゃで綺麗にまとめようとしない。
でもいつものSABU監督ならもっともっとはじけきって、
想像外の外宇宙まで飛んでいっちゃうところ、
巧みな「足かせ」の設定でそれを巧みに観客のベクトルを巻き込むことに成功した。
「足かせ」とはつまり銀行強盗の面々がそれぞれ抱える別々の弱みであり、
象徴としての<時速40km>だ。
その足かせをはめておいてそこから逃れるためにもがくからこそ、
「弱み」はかくも楽しく美しい。
筧なんて、あんなに動ける体育会系の役者なのに、
河原で穴に突っ込んだ手が抜けず、ずっと100分の間、はいつくばったままの芝居だ、
でも、それが面白い、笑わせる、バカだなーほんと。
ご先祖様は、堤真一に抜き身で迫りながら

  たたかえ!たたかえ!たたかえ!

と、ギリギリの恫喝をかける。
そのシーンの殺陣は、さすが、
元ジャパンアクションクラブと思わせる、
迫力あるものだった、引き込まれる、感動した。

柴崎コウは綺麗なヒトだなーとあっけ。
安藤、大杉、寺島は本領発揮。
・・・にしても筧は完全に堤に負けてるなー。
堤は今でも舞台役者であることを映像俳優であることに優先させている。
舞台から背を向けた筧とは対照的に、辛いライブの世界に踏ん張っている。
その差だとどかは思った。
ごっつい筧びいきのどかでさえ、この堤真一は断然かっこいいと思う。
そりゃあ、筧さんにもいろいろ事情があるでしょうから、
それについてとやかく言えた義理ではないけれど、でも、
野田や新感線で主役を張り続ける堤さんのが、格好いい、もん・・・


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