un capodoglio d'avorio
ネコバス氏と鑑賞、ってか昨日の"ATTACK OF THE CLONES"の10倍混んでた(当社比)。 ってか、整理券30分並んでようやく立ち見できるという惨状、 でも運良く座って観れてうれちかった、でもでも汗だくだく一丁(吉野屋風)。
松本大洋原作の「ピンポン」の映画化。 監督はあの「タイタニック」のVFXチームに参加した曽利文彦、脚本は劇団大人計画所属の「時の人」宮藤官九郎。 キャストは窪塚くんやARATA、大倉さん(元カビ人間)、中村獅童、サム・リー、 竹中直人、夏木マリ、松尾スズキと荒川良々(二人とも大人計画)など。 あと、主題歌がスーパーカーっていう・・・ 何だろ、サブカルチャーオールスターズ的な安易なプロダクションだなあ。 と冷めた視線もぬぐえなかったのはあるんだけれども。 でもでもね、やっぱり大洋作品を宮藤さんが書くゆうのは、 ごっつい魅力的、たとえ、あざとい映像に打ちのめされても後悔しないもんって意気込みで、 整理券の列に並んだんよね。
そしてそして。
評価は・・・「あらびっくり、すごいやないの」的な感動。 映画として独自の世界を目指すのではなく、あくまで原作コミックに忠実にあろうとした、 スタッフキャスト全員の「謙虚さ」の勝利だと思う。
宮藤さん、大変だったんだろうなあ、これを原作に書けって言われてもなあ。 だって、すでに完成された世界、圧倒的な強度を持つネーム達。 宮藤さんの持ち味である軽妙なセリフの応酬をねじ込む隙間なんてこれっぽっちもないもんな。 コマ割、構成もそう。 原作そのまんまなショットが繋げられていく、んだけれど、それが決して陳腐ではない。 そう、漫画まんまなんやったら、映画わざわざ観ることないやん・・・とはならない出来の良さ。 「謙虚さ」というのはつまりこう。 原作コミックにプラスアルファでいろいろ付け加えて・・・という傲慢さではなく、 原作を出来るだけそのまま、削らざるを得ないところも作品のエッセンスに傷が付かないよう、 慎重に慎重に、そぎ落とせるところを落としていく作業。 そうこの作品は「引き算」に徹したからこれほど凛々しく瑞々しい後味になったんだと思う。
そもそも「ピンポン」はスポコンものでは無い。 「スラムダンク」はまっとうなスポコンで、「タッチ」はスポコンに近いけれどそうではない。 その意味において「ピンポン」は同じスマートな感じではあっても、 「ピンポン」はスポコンではない。 それはテーマの違い。 「ピンポン」は何もペコがいみじくも言った、
この星で一等賞になりたいの、卓球でオレは! そんだけ!
というセリフを汗と努力で裏付けしていくことがメインテーマではない。
ヒーロー参上、ヒーロー参上、ヒーロー参上。
というスマイルのつぶやきにこそ作品のエッセンスがあって、 ペコがドラゴンから1ゲームを取ったときのピンポン仮面のポーズ、 このポーズだけで大洋作品からのファンが泣けるかどうか。 それがこの映画の最大の評価のポイントだろう。
昨日はちょびっと泣いた、今日はボロ泣き。 昨日のスケールは果てしなく広く、今日のスケールは"274cm X 152cm"。 でもあのピンポン仮面の決めポーズはライトセイバーを構えたヨーダより、かっこいい・・・
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